目次
第1章 価格変動の背景と研究史
第2章 水産物需給と価格動向
第3章 多獲性魚の需給と価格
3-1 飼餌料需給と底支え価格形成のメカニズム
3-2 サバ類の需要の階層性と価格形成
3-3 イカの需給と過剰在庫
3-4 まき網漁業と市場条件
第4章 養殖水産物の過剰と需給調整
4-1 ブリ類の需給と養殖経営
4-2 ノリの需給と経営
4-3 カキの需給と養殖経営
4-4 ホタテ貝の需給と養殖経営
4-5 ウナギの需給
第5章 水産物市場の国際化と価格
5-1 サケ・マス類の需給と価格形成
5-2 カツオ・マグロの需給と価格
5-3 エビの需給と価格形成
第6章 水産物需給構造の数量的解析
6-1 水産物需要と価格の変動傾向
6-2 水産物消費の地域差
6-3 水産物の代替性と価格形成
6-4 水産物価格変動の要因−グラフにみる変動要因−
第7章 総括
前書きなど
この十年間に水産物の流通は大きく変わっている。十年前と比べると、エビは東南アジアや北欧、南米など世界各地から大量に輸入されている。そのため国内ではエビが安くなり外食産業で大量に使われるようになり、ファミリーレストランではお子様ランチにまでエビフライがのるようになった。マグロはボストンやグァムやオーストラリヤから飛んできて成田漁港に到着し、食卓に並ぶようになった。サケもまたノルウェーのフィヨルドで養殖された大西洋サーモンが肩を並べてスーパーの店頭で販売されるようになった。
築地の中央市場には外国からの漁業者や輸出業者の視察が絶えないと言う。このように、我国の水産物市場は国際化の度合いを急速に深めていると言える。
一方、消費の動向は所得の伸び悩みが需要の堅調傾向を、共働き家庭や核家族化による生活様式の変化が水産物の選択的拡大を強め、そのため水産物間の競合激化や畜産物との競合激化を招いている。
本書の1章2章は水産物価格変動の背景と研究史、中・長期の価格動向を解説している。中間の3章から5章は主要水産物を種類別に取り上げ需給と価格形成を統計的に検討している。取り上げた魚種は多獲性魚3種類(イワシ、サバ、イカ)、養殖魚類5種類(ブリ、カキ、ノリ、ホタテガイ、ウナギ)、国際化が進んでいる魚種3種類(サケ・マス、カツオ・マグロ、エビ)である。そして最後の章は水産物価格の総合的検討で構成され、価格と需要の年変動の分析及び需要の地域差、最新のデータを使った価格形成の分析である。そして最後にこれらの結果をわかりやすくするために価格とその変動要因の関係をグラフで示した。水産関係者を始め人々の理解の一助とならば幸いである。