目次
はじめに
第1章 いのちと暮らしを守る
身近な土木施設、道路/地吹雪の中での除雪作業/通行車両・歩行者に留意しながら進める大都市部の除排雪作業/粉じんで真っ黒になった時代も/ネットワーク化で地域を越えた災害対応ヘ
コラム 地方の眼―1 「事業仕分け」の限界
第2章 個のやる気を引き出す
石炭事業の歴史と革新的経営/社長交代で社員を活かす企業経営に/CCPMの導入で公共事業の三方よしを実現/これからの人材育成のかぎ、情報化施工/地域の財産としての企業価値
コラム 地方の眼―2 ソーシャルキャピタル
第3章 食料生産を支える
漁業と酪農のまち、標津町/地域密着が不可欠の農業土木/地域の基幹産業との連携が強化/地域に広がる、連携力
コラム 地方の眼―3 土地を変える技術
第4章 小さなまちから世界へ
インフラの老朽化にビジネスの芽/「維持更新の時代がやってくる」という先見の明/簡単操作でコンクリートの強度を診断/クボ・ハンマー、雄武から世界へ/意外な分野で市場の広がりを期待/メイド・イン・オウムを日本、世界ヘ
コラム 地方の眼―4 インフラクライシス
第5章 目の前にある小さなニーズをビジネスに
公共事業の削減から新分野に進出/「地域に必要とされる企業」に/再生クラッシャーラン製造工の開発/IT活用で外から資金を稼ぐ
コラム 地方の眼―5 ブルー・オーシャン
第6章 技術を生かして海外へ進出
人材力を高め、組織の活力を維持する海外展開/北海道開発と縁の深いキルギスへ進出/寒冷地の建築技術を生かして
コラム 地方の眼―6 ODAによる海外展開
第7章 “公”の役割を担う
地域の豊かな自然環境を次代へ/トラスト活動の経験を活かして/農業分野へも進出/地域への奉仕の理念/指定管理者・PFI制度を積極的に/空港管理の先進事例が旭川に
コラム 地方の眼―7 コンセッション
第8章 地域資源を発掘し、まちを元気に
地域に根差したまちづくり活動/キリンクレーンで建設業を身近に/まちの歴史に地域資源あり/地域の課題に向き合って信頼される企業ヘ
コラム 地方の眼―8 新幹線開業
第9章 地域内連携への挑戦
建設業の連携力が試される時代/市町村合併を経て、大空建設業協会を設立/大空総合管理協同組合の誕生/念願の指定管理者に/提案型で地域の活性化とともに業務の幅を広げる/地域振興を目的に建設業者らが会社を設立/「エミュー」を音別の新しい名物に/地域に向き合う建設業/「魚道」をテーマに強まる連携
コラム 地方の眼―9 平成の市町村合併
第10章 地域エネルギーの活用
エネルギー問題と向き合う/環境問題に向き合う中で/北海道の地域特性から生まれた架台/時代の流れを見極める/スマートコミュニティでエネルギーと資金の域内循環を/電力ビジネスを地域振興に
コラム 地方の眼―10 エネルギーの地産地消
第11章 次世代につなぐ人づくり
大きな課題となっている人材不足、後継者不足/地域密着で末永く顧客とつながる/自社の大工は北海道・大工養成塾で育成/建設業を身近に感じてもらうきっかけづくり
コラム 地方の眼―11 無名碑
第12章 地域経済を牽引する
地域経済を元気にするリーダー役として/地域密着型経営で存在感を示す/富良野の一大「食」空間、フラノマルシェ/観光産業と中心市街地活性化
コラム 地方の眼―12 観光産業は都市産業
第13章 地域の伝統的な資源を生かす
高付加価値の新しい地場産業を生み出す/産業大麻に着目し、新たな展開へ/地域の伝統に着目し、復活させた「勇知いも」/低温貯蔵で食味を向上
コラム 地方の眼―13 地域資源、伝統へのこだわり
第14章 ワインづくりで雇用を守る
北海道南西沖地震と建設業/雇用を守るために考えたワインづくり/台風の被害を乗り越えて/雇用を維持するために企業再建にも尽力/離島のハンディを観光産業の魅力づくりに
コラム 地方の眼―14 ストーリー性
おわりに
前書きなど
はじめに
本書は、二〇一四年八月に発刊した『地域とともに生きる 建設業』の第二巻として発刊するものです。第一巻では、地域社会を支えている建設業の姿について、主に産業としての視点から、地域をめぐる課題にも触れながら建設業の実態について分析を試みました。
(中略)
第一巻の執筆に当たっては、建設業の実態をこの目で確認するとともに、各地の現場で仕事をしておられる多くの建設業の方々からお話をおうかがいするために、北海道内各地を回ってきました。本書は『地域とともに生きる 建設業』の第二巻として、そこで見てきた実践的に活動をしておられる建設業の皆さんの具体的な取り組みを紹介するものです。厳冬期における除排雪作業への同行体験や、小学生を相手に仕事の内容を分かりやすく説明するのに奮闘している建設業の皆さんの姿など、楽しくも現場の厳しさを感じる取材でした。将来への可能性を感じる活動も多くあり、他の建設業の方々にも是非参考にしていただければという気持ちで紹介しています。しかし、取材させていただいた全ての取り組みを紹介することができないことをお詫びいたします。やはり、建設業の魅力は現場にあると思います。その一端でも感じていただければ幸いです。
本書は、わたしと関口麻奈美の二人で調査、取材したものをまとめたものです。コラムについては、それぞれの章で紹介した内容に関連したテーマで、地方の眼としてわたしの感想を書きつづったもので、ご笑覧いただければ幸いです。
(後略)
小磯 修二