目次
はじめに
第1部 北海道はアジアのグローバルハブとなる
I TPP危機と北海道
1.TPPの打撃、衝撃の試算
2.農家が生き残るのか、農業が生き残るのか
3.国民の胃袋を満たすのは誰か
4.国内植民地としての北海道
5.支配される流通
6.世界の中での北海道
Ⅱ 北海道が生き残る道
1.見捨てられた国家・シンガポールに学ぶ
2.国を変えるMICE戦略
3.「交流人口」という資源
4.世界2位の農業大国オランダとフードバレー
5.北海道フード・コンプレックス特区とグローバルハブ
6.北海道の地の利
7.北極海航路のインパクト
Ⅲ 第一歩は新幹線新千歳直結から
1.新幹線直結でアジアのハブ空港へ
2.建設費総額3000億
3.実現への道筋
4.財投の復活
5.物流体系の課題
6.法律の限界、政治の役割
第2部 中前茂之の原点
I 開拓者の血統
1.開拓者四代目として
2.水戸黄門の裁きと政治の理想
3.運命を変えた師との出会い
4.凍り付いた冬
5.関東・東北の旅
6.恩師・五十嵐日出夫先生
7.北大土木の系譜を継ぐ
Ⅱ 政治家を目指す決意
1.建設省入省
2.国の仕事、地方の立場
3.新潟県中越地震から学ぶ
4.雪害を克服する
5.転機
第3部 開拓四世の政治理念
I 政治主導と脱官僚依存
1.脱官僚と脱官僚依存
2.政治の責任と行政の役割
3.未来から振り返る政治
Ⅱ 投資効率よりも大切なもの
1.公共投資の経済効率
2.大都市の傲慢
3.日本の美しい山河を守るのは
4.地域エネルギーの宝庫
5.精強性を保つ訓練道場
Ⅲ 少子高齢化時代の都市と社会資本
1.人口減少と交通ネットワーク
2.変化する社会に対応するビジョン
3.コンパクトシティと多世代居住
4.個人の欲望からコミュニティの豊かさへ
5.札幌のコンパクトシティ化と戦略的都市交通
6.都市の風格、都市の蓄積
7.問われるのは「国土観」のあり方
Ⅳ 地域を守る政治
1.規制緩和と地域経済の崩壊
2.真の自由貿易
3.重層的な域内生産域内消費
4.北海道の新しい芽に希望を
Ⅴ 国益を守る政治
1.「財投」という国益の喪失
2.民営化圧力の黒幕
3.日本の美風を守る
4.文化の多様性を認め合う世界へ
5.戦後とは何か
対談 北海道地域再生の戦略
北海道の「蓄積」
いびつな経済ピラミッド
北海道“らしさ”の創造
道民の自信の回復
北海道が独立したら
20年後の北海道のために
あとがき
前書きなど
本書では、将来に向けた北海道の価値を再評価するとともに、北海道目線の政治とはどのようなものかを分かりやすく伝えるため、北海道の仮想独立を想定しどのように政策が変わるのか具体的に検討を行いました。
さらに、後半では、明治25年に北海道へ入植した私の曾祖父の代まで遡り、北海道開拓の意味を振り返るとともに、私の政治に対する姿勢も綴りました。
平成22年8月に急転直下16年勤めた国土交通省を退職し、衆議院選挙に臨むことになった背景には何があったのか。限られた時間での説明ということもあり、大変多くのみなさんにご迷惑と驚きを与えてしまったことは大いに反省しなければなりませんし、もっと時間があればとの感は否めません。同級生からは、「お前は馬鹿だ。苦労して就いた上級の国家公務員をやめて、あんな厳しい選挙に臨むなんて」と言われる。でも、私にはやらなければならないことがあると強い志を立てました。
北海道は開拓から140年。大きく発展したといえども今は経済が低迷し、将来への展望は開けていません。開拓者の四代目である私たちの世代は高度経済成長の恩恵を受け、社会の基盤や制度が整えられ、比較的良い時代を過ごしてきました。
しかし、次の世代やその次の世代はどうなるでしょうか。年金の財政は破綻し、国と地方を合わせた公債残高は1000兆円にものぼり、北海道は域際収支で常に2~3兆円の赤字を計上し、本州依存でいまだ自立できないでいます。
しかし、現状を憂うばかりで手をこまねいていては何も変わらないどころか悪化の一途。私の先祖、みなさんの先人が夢や希望を持ってここまで発展させた北海道を「もう一度夢のある大地」に変えるために何をしなければならないか。多くのみなさんに届けられるよう、私の訴えと思いを本書にまとめました。
(略)