目次
まえがき
1 松本 潤 株式会社KDDI総研 代表取締役社長
次世代創造社会におけるメディアコミュニケーションビジネスのデザイン―5
2 麻田信二 学校法人酪農学園 理事長・元北海道副知事
協同の力で新しい北海道を目指して―25
3 臼井栄三 株式会社電通北海道 取締役コーポレート本部長
明日の北海道を拓くマーケティング―45
4 松田一敬 北海道ベンチャーキャピタル株式会社 代表取締役社長
北海道の青年よ 大志を抱け―67
5 坂東 元 旭山動物園 副園長
廃園の危機から日本一になるまでと今後―89
6 後藤隆之 北海道ニュービジネス協議会 専務理事
-実践的起業論-北海道における起業化のヒント―115
7 金 在哲 東遠グループ 会長・前韓国貿易協会 会長
グローバル化時代の東北アジア-日本・中国・韓国の協力強化を求めて―135
8 髙木繁雄 株式会社北陸銀行 取締役頭取
富山から北海道を目指して-北海道に根ざした富山の人々―149
9 多喜義彦 システム・インテグレーション株式会社 代表取締役社長
北海道の活性化と知財活用―171
10 木原くみこ 株式会社らむれす三角山放送局 代表取締役会長
三角山から世界へ-地域密着型コミュニティラジオの可能性―191
11 本保芳明 国土交通省観光庁 長官
日本政府の観光戦略について―209
12 大見英明 生活協同組合コープさっぽろ 理事長
北海道の未来を展望(デザイン)する―231
あとがき―250
前書きなど
あとがき
二〇〇八年一二月、北海学園大学経済学部・コープさっぽろ寄附講座「21世紀・北海道の将来を展望(デザイン)する」は、二年間三期にわたる三六回の講義を終了した。
本講座は、厳しい経済社会状況が予想される北海道の将来に対し、現状に甘んじることなく、二一世紀における北海道が、協同の精神を生かし、希望と活力のある大地として、かつ創造性豊かな地域として発展していくことを願い開設したものだ。
道内外の一線で活躍する自治体首長、経営者、経済人、ジャーナリストなど各界の識者から、北海道の未来や産業の活性化に向けた提言をいただいた。今Ⅲ期では、韓国東遠グループの金在哲会長からは世界の中の北海道・東北アジア共同体という視点を学んだ。「世界地図を逆さに見ると未来が見える」。同様の提言を北陸銀行の髙木繁雄頭取からも示された。発想の転換、グローバルでものを見ることは、北海道の将来を探るうえでも、欠くことのできないキーワードである。厳しい状況があるとはいえ、視点を少し変えるといくつもの強みがあることを学んだ。受講いただいた皆さんが、三六回の講義から何かを汲み取り、北海道の将来のために一人ひとりが考える契機になってくれれば有難い。
コープさっぽろも組織として成長する上で、この講座を通して多くのことを学んできた。Ⅰ期では、「連」、つながりを創る役割の重要性を学び、北海道の生産と消費をつなぐ役割をテーマに「産業クラスター」そして「ネットワークづくり」を担うことを進めた。Ⅱ期・Ⅲ期を通じては、グローバル化の波への対処、食糧と農業、人材育成の三つの重要性を学び、「コープみんなでエコ」、「『北海道100』商品の開発」、そして「知のネットワーク化と大学連携」を具体課題として進めてきた。そして、北海道を中心に北海道の未来を考えるだけでなく、日本全体へ発信する自立した地域・北海道として、また世界の中の北海道として見れば、新たな発想もできることを示してくれた。同時に、海外の国の事例を学び視野を広げること、特に北海道は、フィンランド、デンマークなどを勉強すべきとの提言もいただいた。
『北海道の将来を展望(デザイン)するⅢ』を刊行することで、これで三冊シリーズとしてまとまった。あらためて、Ⅰ、Ⅱをあわせて読んでいただければ有難い。二〇〇九年の一年間は寄附講座を休むことになるが、二〇一〇年から新しく開設を予定している。この三期で学んだことを踏まえ、「展望(デザイン)する」から「前へ進むために」を視野に計画をしたい。是非期待をしていただきたい。
本講座を実施するにあたり多くの方々の協力をいただいた。また本書シリーズ(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)の刊行にあたり、中西出版の河西氏、岸上氏には全面的にお世話になった。ここにあわせて感謝の意を表したい。
二〇〇九年三月
コープさっぽろ寄附講座運営委員
石 坂 裕 幸