目次
はじめに
第一章 欧州における戦争の違法化と制裁
第一節 戦争違法化の理論的展開
第二節 戦争違法化の国際条約
第三節、違反国への制裁――ヴェルサイユ条約とライプチヒ裁判及びPCA・ICJ・EUGHRSM
第四節 違犯者への制裁――ニュルンベルク裁判・ICCによるプーチン逮捕状
第二章 欧州の挑戦――欧州連合・欧州不戦共同体の実現
第一節 欧州連合の父、クーデンホーフの「パン・ヨーロッパ」論とその運動
第二節 主権制限による国家統合――ジャン・モネと「シューマン宣言」とECSC
第三節 欧州連合の三つの問題点と課題――ロシアは欧州だが
第三章 ゴキブリ皇帝プーチンの戦争――原型と踏襲
導入 プーチンの戦争その概略と三戦術
第一節 プーチン戦争その原型――第二次チェチェン戦の勝利で大統領に
第二節 プーチン戦争その第二段階――二〇〇八年のジョージア紛争
第三節 プーチン戦争その第三段階――二〇一四年クリミア併合
第四節 プーチン戦争その第四段階――シリア・アサド政権支援無差別空爆
第五節 プーチン戦争その第五段階――ウクライナ侵攻(二〇二二・二・二四~現在)
おわりに
前書きなど
〈トルストイ『イワンのばか』〔第一一話〕のゴキブリ皇帝は、平和なイワン国に侵攻し、「村人から略奪せよ・家や穀物を焼き尽くせ・家畜を大量に屠殺せよ」〔三光作戦(掠奪・焼尽・屠殺)〕、と厳命し、従わない者は全員処刑と宣告する。このゴキブリ皇帝と全く同じようにプーチンもまた、二〇〇〇年五月大統領就任以後二五年間に、第二次チェチェン戦・ジョージア戦・クリミア戦・シリア空爆戦・ウクライナ戦〔ウクライナはEU=欧州不戦共同体に加盟しようとしていた〕と、近隣諸国に五度に及ぶ戦争を仕掛け、いずれも地上戦では「三光作戦」〔当然国民には良い所だけを見せる〕を強行して勝利し、「戦争英雄」として国民の喝采を浴びる。かつまたプーチンは、ゴキブリ皇帝と同じく己に従わない者を次々と処刑し、ここに恐怖の「暗殺国家ロシア」が出現する。本書は、トルストイの「ゴキブリ皇帝」をプーチンと重ね合わせて「ゴキブリ皇帝プーチン」と呼ぶ。なお「戦争英雄」は、マックス・ヴェーバー『支配の社会学Ⅱ』によれば、敗戦によって「罷免と死」を迎える。本書はこのゴキブリ皇帝プーチンの戦争物語でもある。〉(「はじめに」より)