目次
刊行に寄せて 堀内 哲
一 石井四郎と昭和天皇 堀内 哲
二 忖度天皇制とイエ制度の崩壊 堀内 哲
三 〈無駄な穴〉と天皇制 「松代大本営」とは何か 原 昭己
四 民族差別と天皇制――「群馬の森」朝鮮人労働者追悼碑撤去問題を手がかりとして 髙橋夏未
五 普通選挙法と治安維持法から一〇〇年 田中久雄
六 座談会 天皇制の「アキレス腱」
としまる(小倉利丸)/池田五律/金 靖郎/金澤 玲/佐藤達哉/堀内 哲
おわりに 堀内 哲
前書きなど
〈七三一部隊の戦争犯罪が再び世界的な注目を集めている。折しも中国では七三一部隊の映画が七月三一日に公開される。そこで、あらためてこの問題に焦点を当て、七三一の問題から戦後八〇年・昭和一〇〇年の考察を試みた。これに加え、地域の戦争史跡から天皇制を問う視点が重要と考え、私が住む長野県の松代大本営の問題について原昭巳さんに、隣県の群馬の朝鮮人犠牲者追悼碑撤去について高橋夏未さんに提起していただいた。
今年は治安維持法と普通選挙施行一〇〇年も迎える。近年、国政・地方選挙ともに低投票率で地方議会では「議員のなり手不足」が問題になっている。いっぽうで「翼の党」の選挙妨害、候補者のハンドルネームの横行など、以前では考えられない問題も浮上している。戦後民主主義の危機の根源は一〇〇年前の治安維持法の時代から選挙制度が根本的に変わっていない点にあると考え、この問題について「変えよう!選挙制度を考える会」の田中久雄さんに特別寄稿を依頼した
また、としまる(小倉利丸)さん、池田五律さん、金靖郎さんと現役学生の佐藤雄哉さんと金澤玲さんを交えて座談会を行なった。
「昭和は遠くなりにけり」などと安い詠嘆に委ねてはなるまい。「昭和一〇〇年」を問うことは、日本の近代一〇〇年の歪みを問い、元号を問い、天皇制を問うことだ。〉「刊行に寄せて」より