目次
はじめに
■北西部
1 轆轤山
2 布袋岳から628㍍峰
3 行者山から駒ヶ岳へ
4 三尾山
5 近江坂(大御影山)
6 滝谷山
7 湖北武奈ヶ嶽(武神嶽)本峰
8 湖北武奈ヶ嶽(武神嶽)南稜
9 二の谷山北稜
10 赤岩岳から水坂峠
11 荒谷山地(縄手)と大俵山
■西 部
12 朝日山(葛籠尾崎)
13 東山(海津)
14 万路越北尾根
15 焼谷山(前山)ほか
16 山崎山
17 原山峠から白石平
18 笹ヶ峰・稲山
19 ビラデスト今津〜原山峠
20 大明谷の頭
21 百瀬川上流から青蓮山
22 阿弥陀山と継体天皇遺跡めぐり
23 大師山・清水山城跡
24 深坂から山門水源の森
■北東部
25・26 倉坂峠と玄蕃尾城跡
27 天神山から文室山
28 神明山
29 余呉湖西尾根
30 西野水道と山本山
31 左弥山(上鑓山)
32 南洞山
33 山田山
34 弥高山
35 笹尾山から相川山
36 城山・岩倉山・松明山
37 三島池と横山
38 臥竜丘陵縦走とかぶと山
■東 部
39 松尾山から柏原宿へ
40 鎌刃城跡とその周辺
41 史跡・太尾山城跡と南尾根
42 三国岳(北鈴鹿)
43 北岳(サクラグチ)
44 ベンケイ
45 能登ヶ峰
46 芹川ダムと鞍掛山
47 高取山(たかぴーの森)
48 長光寺山(瓶割山)巌蔵山ほか
49 繖山から猪子山
50 安土山北尾根
51 白王山からの笠縫山縦走
52 鶴翼山(八幡山)北尾根
■南 部
53 旗山・烏山(小平山)
54 小川城山
55 堀切谷の山(突谷の頭)
56 大石山
■若狭・嶺南
57 点標:追分からインディアン平原へ
58 小河口から夕暮山
59 新疋田から岩籠山
60 三内山・天筒山
61 池河内湿原と長野尾峠
62 橋立山から文殊山
63 三方五湖周辺の三角点巡り
■コラム
やめられない低山・やぶ山歩き
近江の分水嶺を歩いて思う
藪が私を育ててくれた
源流、山村痕跡を探る
おわりに
前書きなど
まえがき
平成5年3月『琵琶湖周辺の山─うり坊の足跡─』を出版後、近江を中心に未開の尾根や里山に足を踏み入れて、昔ながらの風情が残る低山に挑んだ。
昔は、ふもとの住人が歩いたかすかに残る山道も、人が入らなくなった山は自然に還っている。獣が通るのか、一筋の獣道が尾根に続いている。山道は静かである。雑木林に入ると、分け入るクマザサの触れ合う音や、仲間に合図をおくるシカの声がキーンと聞こえてくる。
迷っているようで迷わない尾根道。荒れた谷に降りなければ危険はない。しかし、無理をすれば必ずしっぺ返しを食らう。自然をなめてはいけない。
日本百名山にも選ばれない、標高1000㍍に満たない里山にはルートがない。だが先住の獣たちがなんとなく教えてくれる。「山が高ければ尊いとは限らない。早く長く歩くのがりっぱなわけでもない」。どこかを目標に、そこを目指し達成するだけでも登山の妙味はある。
私は歩く前に、まず、地図の上で情景を描き頭で歩く。地図上に綺麗な尾根を見つけては登山口はどこか、下山道をどこかと決め、それぞれ最寄りのバス停や鉄道の駅とを結びつける(世間では机上登山という)。
観光とは程遠い山ほど、自然がそのまま残っていて魅力たっぷりだ。ほんとうの山の雰囲気を味わいたかったら、断然、名もない里山歩きをお勧めする。たとえ標高500㍍に満たない山でも、それなりに魅力があるからだ。
GPSの普及とともに登山する形態が変わり、転換期を迎えた今、この本は国土地理院発行の地形図とコンパスだけ使って探索した最後のガイドブックとなるであろう。今後はGPSを駆使して、一つでもグッドルートに取り上げて歩いていただければ、開拓者としてこの上ない幸せである。