紹介
指定管理者制度施行から9年。住民のための、公共文化施設の管理・運営はどうあるべきか。2002年の発足から解散までの貴重な意見・事例と、今後の提言を収録したドキュメント。
岸和田市の公共文化施設「浪切ホール」。開館時から管理・運営を行ってきたのが岸和田市文化財団だ。
同財団は指定管理者の交代など、様々な要因により2012年3月での解散が決まった。
本書では同財団から見た浪切ホールの立ち上げから指定管理者の変更にいたるまでの経緯をルポ形式で紹介。外部関係者による証言と検証、さまざまな事例を踏まえた各分野の研究者による論考を交え、地域住民、施設利用者との座談会・インタービューなど受益者の声を多く収録した。
本書は今後の公共文化施設の運営における将来像を提言し、指定管理者制度のこれからを考える研究者や実務家ら関係者の必読書である。
目次
1章 ドキュメント
~浪切ホール、最初の9年の記録
イラストで見る、はじめての浪切ホール
2章 証言と検証
~岸和田市文化財団による運営をふりかえって
・ナミキリに在る記憶 浪切ホールにまつわる23の証言
・数字で振り返る最初の9年
・浪切ホール 市民座談会「文化に触れる機会をくれた」
佐々由佳里(ピアニスト)×中塚鞠子(詩人)×和田有美(主婦)
・座談会 公共ホールの役割、それぞれの想い
石野浩二(堺市文化振興財団)
齋藤光國(文化律灘合同会社)
中脇健児(伊丹市文化振興財団)
日和 香 ( 吹田市文化振興事業団)
3章 論考
~いま、ここ、から考える地域のこと 文化のこと
・公共文化施設を「管理」するということ
・地域の文化財団と自治体の文化政策
・地域の公共文化ホールの現状と課題
4章 継ぐ想い、繋ぐ想い
~浪切ホールと公共文化施設の描きうる未来
・浪切ホール新館長 近松健二インタビュー
もっと地域へ 浪切ホールのこれから
・地域集権時代の文化政策をめざす「芸術営」の可能性
あとがき 資料