紹介
合併により周辺部が寂れる、伝統や文化の喪失などの懸念は払拭しうるのか?
平成の大合併に伴う「合併特例債」はじめ、経済事案をいかに乗り越えられるのか?
合併によって、旧12市町村を束ねる「ひとつの浜松」ははたして成立するのか?
文化を基底した、まちづくりを捉え、平成の合併と文化政策を同時に論じた初の書。
「平成の大合併」が、嵐のように過ぎ去った。
1999(平成11)年の3,232市町村が2010(平成22)年には1,727市町村となった。
21世紀最初の10年、全国の至る所で市町村合併のドラマが誕生した。これから合併の本来的効果が現れるまでには、10年程度の時間が必要だろう。
合併により行政という組織、住民はどのように変わるのか。合併という社会事象を受けて地域づくり、まちづくりはどのように進めていったらよいのであろうか。これらを考える視点に文化政策の視座を導入して分析を試みた。
モデルとして、合併後に政令都市をめざした浜松市を選定。同市は、ホンダ、スズキ、ヤマハ、河合楽器にゆかりの産業都市、農業都市、外国人が多く住む外国人集住都市等様々な顔を持つ。音楽のまちづくりに端を発し創造都市を目指すまちでもある。
文化政策を取り巻く諸要素にはどんなものがあり、そしてそれらは市の文化政策にいかなる影響を与えるのか。本書は、浜松市の合併を事例として、文化政策の視点から平成の合併を検証することによって、総合政策としての文化政策をまちづくりに活かすことの必要性を論じた1冊である。
目次
序 章 文化政策と市町村合併
第一章 市町村合併とは
第二章 対等の精神で実現した浜松市の合併
第三章 「ひとつの浜松」の実相
第四章 文化政策を取り巻く諸要素
第五章 浜松市の文化政策論議から見えてくるもの
第六章 合併によって芸術・文化事業はどう変わったのか
第七章 合併後の〝市民の思い〟と〝行政の思い〟
終 章 文化政策の視点で合併後のまちづくり