目次
第一章 作家トマス・ピンチョン
ピンチョンの横顔
ピンチョン家
「二つの文化」を横断する作家
休憩� 地球、月、太平洋、中国
第二章 『V.』 人間の人間的利用
「街路」の駄目男プロフェインと「温室」の偏執狂ステンシル
エントロピー的世界観
アウグスティヌス的悪とマニ教的悪
人間と機械
ヴェイシューの皮膚と心
視覚と触覚
虚空(void)、虚無(vacuity)
V.と「三位一体史観」
メタファーという外套
いつもクールに、でも思いやりを持て
神の不在
休憩� ピッグ、モンダウゲン、ムーチョ、ゾイド
第三章 『競売ナンバー四九の叫び』――混沌からの秩序
読者を悩ませるいくつかの問題
エントロピー再び
ネファスティス・マシン
幽閉されたエディパ
メタファー
大地のマントを織り紡ぐ
トライステロとWASTE
書き換え
老水夫
無政府主義的奇跡
耕地と海
多様性の海へ
休憩� 読めない象形文字
第四章 『重力の虹』 積分的救世主の降臨
『重力の虹』が書かれた時代と『重力の虹』に描かれた時代
『重力の虹』を繋ぎ止めるもの
スロースロップの最期
魚、魚座(PISCES)、サカナ(Poisson)
思いやり
積分と微分
天使達
指輪
スロースロップの自我探求
無心の快楽
スロースロップ、オルフェウス、救世主
慈悲
休憩� 虹色の化学と世界大戦
第五章 『ヴァインランド』 カルマ的スター・ウォーズ
ポップ・カルチャーのカタログ?
メッセージ
「食球チューリップ」
修辞的技巧
スター・ウォーズ
ルークとヴェイダー、プレーリーとフレネシ
フォースの暗黒面
なぜ『スター・ウォーズ』か
ポップ・カルチャーのカタログ!
『愉快なブレイディー一家』
『スター・トレック』
チューブ/テレビゲーム
仮想現実と現実
東洋思想とカルマ
ブロックの死
カルマの連鎖
語りの「時間」
カルマ的文体
群論、その他の小道具
ヴィンランド
休憩� 「生命」という名のゲーム
第六章 『重力の虹』から『ヴァインランド』へ 協力の進化
一七年間の沈黙を越えて
「キーンという音が空を横切る」
楽観主義の徴候
秘密の報い
「時を廻らす手あり」
「彼ら」は不死か
堆肥庭と結晶
カルマ
協力の進化
「そしてすべての石には魂が宿る」
約束の虹とヴィンランド
休憩� ワンダ・ティナスキー
第七章 『メイソン&ディクソン』 可能な歴史の総和
二〇年をかけた大作
語りの枠組み
メイソンとディクソン
登場(人)物たち
再びピンチョン的ユーモア
穏やかなピンチョン
第一の境界線、メイソン=ディクソン線
第二の境界線、生命と非生命
第三の境界線、幻想と現実
超ひも理論、フラクタル、カオス
量子電磁力学(QED)
仮定法的世界
仮定法
歴史と真実
パリンプセスト・イメージ
パパ、ピンチョン
第八章 二〇世紀末のラッダイト 自己複雑化の閾値を超えて
ポストモダニスト?
複雑系小説
「ガイア」?
生態学的世界
「ラッダイトやってもいいかな」
世紀末のラッダイト