目次
口絵
はじめに〔江崎保男〕
凡例
序章 エコトーン再考:ダムの水位変動帯を考えるために〔谷田一三〕
0.1 エコトーン(推移帯あるいは移行帯)とは
0.2 水陸移行帯のエコトーン
0.2.1 エコトーンとしての汽水域
0.2.2 エコトーンとしての潮間帯
0.2.3 河川と周辺陸域のエコトーン
0.2.4 人為的な自然改変によるエコトーンの消失と創出
0.2.5 河川の工作物による河川エコトーンの破壊
0.2.6 ダム湖のエコトーン
Part Ⅰ ダム湖水位変動帯の基盤と植生
第1章 流入量の変動と地形植生形成〔浅枝 隆〕
1.1 ダム湖内の植生域
1.2 湖岸に形成される植生群落
1.2.1 ヤナギ林の形態
1.2.2 ヤナギ林の樹齢分布
1.2.3 水位変動が草本群落に与える影響
❖コラム1 ダム湖水位変動帯の裸地化とその緑化対策〔藤原宣夫〕
第2章 水位変動帯の草本群落:寒河江ダムを中心に〔一柳英隆・沼宮内信之・沖津二朗〕
2.1 寒河江ダムの特徴
2.1.1 寒河江ダムの諸元と水位変動
2.1.2 ダム湖河川流入部水位変動帯の特徴
2.2 寒河江ダム水位変動帯の景観変化
2.3 寒河江ダム水位変動帯の植物相の特徴
2.3.1 堆砂デルタには一年生草本が多い
2.3.2 冠水日数と植物相の関係
2.3.3 水位変動帯の植物の由来
2.4 他のダムの水位変動帯植物相と希少植物生育状況
2.5 水位変動帯の植生とその保全
第3章 水位変動帯の木本群落〔浅見和弘・浅枝 隆〕
3.1 湖畔の冠水日数と樹木
3.2 流入部の樹木
3.3 ダム湖の樹木管理
❖コラム2 植物の耐水性〔浅見和弘・白井明夫〕
第4章 堆砂デルタの形成と物理特性〔知花武佳〕
4.1 ダム湖堆砂デルタの類型
4.2 類型ごとに見る堆砂デルタの特徴
4.2.1 河原状堆砂デルタ(ダム湖流入部)の特徴
4.2.2 河原状堆砂デルタ(貯砂ダム下流部)の特徴
4.2.3 湿地状堆砂デルタの特徴
4.2.4 水面上に現れる堆砂デルタ無し
4.3 各類型の堆砂デルタ形成に必要な条件
4.4 構成材料を分ける要因
4.5 堆砂デルタの類型と生態的機能を結ぶ
❖コラム3 水質保全ダムと貯砂ダム〔角 哲也〕
第5章 琵琶湖における人為的水位操作と生態系への影響〔西野麻知子〕
5.1 琵琶湖の生物多様性の特性
5.2 琵琶湖水位の変動記録
5.2.1 江戸時代の水位
5.2.2 明治以降の水位
5.3 びわ湖生物資源調査団の水位低下影響予測
5.4 水位操作規則制定(1994年)以降の生態系変化
5.4.1 著しい水位低下の影響
5.4.2 水位の季節変動リズムの変化
5.5 生態系に配慮した水位操作試行の成果と課題
❖コラム4 霞ヶ浦の水位操作と湖岸植生〔西廣 淳〕
Part Ⅱ ダム湖水位変動帯の動物群集
第6章 底生動物群集の動態〔吉村千洋〕
6.1 ダム湖水位変動帯に形成される底生動物の棲み場
6.2 水位変動に対応した底生動物群集の変化
6.2.1 底生動物の時空間分布
6.2.2 底生動物はどのように移動したのか
6.2.3 生活型に着目すると
6.3 底生動物群集と食物網構造の変化
6.3.1 安定同位体比から見る底生動物群集の食物網構造
6.3.2 ダム湖から流入河川への影響を安定同位体比から探る
6.4 更なるダム湖生態系の理解に向けて
第7章 ダム湖水位変動帯の陸上無脊椎動物〔谷田一三〕
7.1 三春ダム水位変動帯の陸上無脊椎動物
7.1.1 調査方法と地点の概要
7.1.2 群集組成と特徴
7.2 寒河江ダム水位変動帯の昆虫類の調査
7.2.1 調査地点と方法の概要
7.2.2 昆虫群集とその季節変化
7.3 干出した水位変動帯の特性
第8章 ダム湖沿岸帯植生の魚類による利用〔浅見和弘・一柳英隆〕
8.1 ダム貯水池内の魚類相
8.1.1 ダム貯水池で確認される魚類
8.1.2 各地域のダム貯水池の魚類組成
8.2 三春ダムにおける魚類の湖畔ヤナギ林利用
8.2.1 水位変動と魚類との関係
8.2.2 三春ダム貯水池のタチヤナギ群落と浮遊物の分布
8.2.3 ギンブナの移動状況
8.2.4 ギンブナの繁殖行動,卵の観察
8.3 ダム湖水位変動態植生と魚類の保全
❖コラム5 ダム湖流入河川の魚類相と試験湛水〔鬼倉徳雄〕
補遺: ダム湖における外来魚問題とその対策〔中井克樹・浅見和弘・大杉奉功・小山幸男〕
1.ダム湖における外来魚対策の必要性
2.三春ダムの水位変動特性
3.水位低下式定置網による外来魚の捕獲
4.段階的水位低下によるオオクチバスの繁殖抑制
5.吊り下げ式人工産卵装置による繁殖抑制
6.人工的水域におけるバス・ギルの適正管理に向けて
第9章 ダム湖沿岸の哺乳類による利用〔荒井秋晴・浅見和弘・一柳英隆〕
9.1 ダムと哺乳類
9.2 水位変動帯に現れる哺乳類
9.3 ネズミ類の水位変動帯利用
9.3.1 ネズミ類の特徴
9.3.2 三春ダムのネズミ類
9.3.3 寒河江ダムのネズミ類
9.3.4 水位変動帯におけるネズミ類密度のダムによる違い
9.4 試験湛水時のテンのダム湖沿岸帯利用
9.4.1 テンという動物
9.4.2 嘉瀬川ダム試験湛水前後のテンの動態
9.4.3 ダム事業,ダム湖とテン
9.5 ダム湖水位変動帯と哺乳類
❖コラム6 山間地のダム湖および渓流の鳥類〔東 淳樹〕
Part Ⅲ ダム湖水位変動帯の食物網と物質循環
第10章 植生がダム湖の物質循環に与える影響〔浅枝 隆〕
10.1 系外からの流入
10.2 物理過程に基づく働き
10.2.1 機械的機構による有機物沈降促進効果
10.2.2 日射の遮蔽効果
10.3 生物・化学過程による働き
10.3.1 硝化・脱窒作用
10.3.2 窒素固定
10.3.3 形態に依存した栄養塩循環
10.3.4 動物を介した栄養塩輸送
10.4 植生の生長を律速する栄養塩
10.5 ダム湖岸における栄養塩負荷源
10.6 樹木群落が発達した水位変動帯における窒素量
❖コラム7 堆砂デルタにおける有機物の堆積と変換プロセス〔吉村千洋〕
第11章 河川流入部の食物網構造〔関島恒夫・児玉大介〕
11.1 ダム湖上流端に形成される複雑な生態系
11.2 大きな水位変動をもつ寒河江ダム
11.3 季節的に構造が変わるダム湖上流端の食物網
11.4 水中堆積物の由来からダム湖上流端に出現する一時的陸域の機能を探る
11.5 ダム湖上流端とその周辺の水域環境とのつながり
11.6 ダム湖の生態系形成に重要な異地性流入
❖コラム8 魚類を介した栄養塩の拡散〔佐川志朗〕
Part IV ダム湖岸の環境整備
第12章 ダムにおけるビオトープの造成〔大杉奉功・澁谷慎一〕
12.1 ダム事業における環境影響評価
12.2 ダム事業における環境保全措置
12.2.1 代償措置と多様性オフセット
12.2.2 代償措置としての湿地ビオトープの造成
12.3 ダム事業における湿地ビオトープ整備の現状
12.3.1 湿地ビオトープ整備の全国的な状況
12.3.2 ビオトープ整備の事例
12.4 湿地ビオトープ整備の考え方
12.4.1 胆沢ダムにおける湿地ビオトープの検討
12.4.2 今後のビオトープ整備とモニタリングの方向性
12.4.3 湿地ビオトープの目標設定
❖コラム9 灰塚ダムのビオトープと社会連携〔中越信和〕
❖コラム10 流水型ダム湛水域の環境整備事例〔皆川朋子〕
終章 環境創出と流域生態系〔江崎保男・一柳英隆〕
13.1 ダム湖エコトーン環境創出の時代
13.2 これまでの環境保全対策
13.3 維持労力をかけない湿地づくり
13.4 湿地生態系創出とダム機能
13.5 創出された生態系の健全性
13.5.1 エコシステム・エンハンスメント
13.5.2 新たな価値を求めて
あとがき〔谷田一三〕
用語解説〔谷田一三・江崎保男・一柳英隆〕
索引
編著者紹介