目次
序 章 生存基盤指数の目指すもの [杉原 薫・佐藤孝宏・和田泰三・峯 陽一]
1 はじめに
2 「人間開発に関わる価値」から「生存に関わる価値」へ
2—1 人間開発に関わる価値
2—2 生存に関わる価値
2—3 潜在能力からケアへ
3 生存圏の持続性評価
3—1 異質な論理の承認と評価
3—2 なぜ各圏を3分の1ずつのウェイトにするのか
3—3 なぜ経済指標を採用しないのか
4 人間圏の持続性評価
4—1 多様性と平等
4—2 生存圏のライフサイクル的理解
4—3 熱帯人間圏からの視点
第1編 既存指数の生成過程とその批判的継承
第1章 生存基盤をはかる —GDP・HDIを超えて— [峯 陽一]
1 価値が指数のフレームを決める
2 諸国民の富の計測—GDPと「国力」
3 人間開発指数(HDI)—人間圏からのGDP批判
4 スティグリッツ=セン報告書—富,生活の質,持続可能性の統合指数へ
5 既存指数から生存基盤指数へ
6 おわりに—「熱帯の力」
第2章 人間圏と地球圏・生命圏をつなぐ指標 [河野泰之]
1 はじめに
2 地球環境の指標化の歩み
3 主要な指標
3—1 生きている地球指標とエコロジカル・フットプリント
3—2 環境パフォーマンス指標
3—3 環境脆弱性指標
4 持続型生存基盤研究のための指標に向けて
第2編 生存基盤指数からみた世界
第3章 地球圏総合指数とその構成要素 [佐藤孝宏]
1 地球圏の論理:循環
2 地球圏の可能性指数:太陽エネルギー
3 地球圏の関係性指数:大気・水循環指数
4 地球圏の撹乱指数:CO2排出量
5 地球圏総合指数からみた世界
第4章 生命圏総合指数とその構成要素 [佐藤孝宏]
1 生命圏の論理:多様化
2 生命圏の可能性指数:森林バイオマス
3 生命圏の関係性指数:生物多様性指数
4 生命圏の撹乱指数:HANPP
5 生命圏総合指数からみた世界
第5章 人間圏総合指数とその構成要素 [和田泰三]
1 人間圏の論理:自律と共感
2 人間圏の関係性指数:ケア指数
2—1 人間圏を貫く価値:ケア
2—2 平均世帯内人数と女性人口比(Female Male Ratio)—ケア空間と関係性の視点
3 人間圏の可能性指数:人口密度
3—1 過密状態で人間も暴力的になるか
3—2 世界各国の人口密度と人口推計
3—3 人口増加するアフリカと減少が予測されるアジアとその例外
4 人類存在に対する三つの圏からの脅威
4—1 地球圏からの撹乱:地震・津波・洪水・火山噴火による平均粗死亡率
4—2 生命圏からの撹乱:マラリア・HIV・結核による粗死亡率
4—3 人間圏からの撹乱:紛争・自殺・他殺の粗死亡率
4—4 人間圏総合撹乱指数
5 人間圏総合指数からみた世界
第6章 生存基盤指数からみた世界 [佐藤孝宏・和田泰三・佐藤史郎]
1 はじめに
2 生存基盤指数の方法
2—1 生存基盤指数の構成と算出方法
2—2 算出方法の背景にある論理的構造
3 生存基盤指数が意味するもの
4 人間開発指数と生存基盤指数の相違点—ケイパビリティから潜在力(Potentiality)へ
5 おわりに
第3編 生存圏の総合的評価に向けて
第7章 自然災害と社会のリジリエンシー(柔軟対応力)
—ピナトゥボ山大噴火(1991)の事例から「創造的復興」を考える— [清水 展]
1 はじめに—東日本大震災の衝撃
2 自然災害と日本社会—台風被害から地震被害へ
3 アジアにおける自然災害
4 災害に対処・適応する文化—フィリピンから考える
5 ピナトゥボ山の大噴火(1991)と先住民アエタの被災・適応—移住と民族の新生
5—1 世界を一変させた大噴火
5—2 先住民族の自覚と文化の意識化
6 おわりに—創造的復興を考える
第8章 熱帯社会におけるケアの実践と生存の質 [西 真如]
1 はじめに
1—1 生存の技術−制度的基盤,再生産のモード,ケアの実践
1—2 ケアの倫理と実践に関わる根深い論争
2 熱帯社会の人間圏を評価する
2—1 再生産のモードと人口
2—2 世帯規模と生存の質
3 ケアの実践と集団の編成
3—1 「囲い込まれた再生産領域」としての家族
3—2 ケアのネットワークとしての地域社会
3—3 ケアの実践によって規定される社会の編成
4 熱帯社会におけるケアの実践—アフリカ社会の事例を中心に
4—1 子育て
4—2 分与の共同体
4—3 病と障害
4—4 老いと死
5 おわりに—ケアの実践と生存の未来
第9章 生存基盤曼荼羅 —指数解釈のための試論— [峯 陽一]
1 ゲシュタルト転換としてのパラダイム転換
2 三圏の論理と進化
3 存在の根源としてのケア
4 両界曼荼羅と南方曼荼羅
5 生存基盤曼荼羅の萃点
6 おわりに
Appendix
執筆者紹介
索引