前書きなど
すべては1通の手紙から始まりました。それは、「TOEICの対策書の執筆依頼をしたいので、一度会ってほしい」旨の執筆依頼状でした。電話やFAXでの依頼が増えている今日、きちんとまず書面にて依頼するという姿勢に感心しながらも、私自身すでにTOEIC関連の参考書を何冊か執筆していることもあり、また、世に類書があふれるほどに出版されている現状を考えて、実は、お会いしてお断りしようと思っていました。
初めて会ったその人が差し出した名刺には奥村民夫とあり、そのときが本書の生みの親とも言うべき奥村氏との出会いでした。執筆を断ろうと思っていた私に対して、その柔和な表情で企画をたんたんと説明していく彼の話を聞いているうちに、これはいけるかも知れないと思うようになりました。なぜなら、本書の企画は、最初から奥村氏が作りたかった構成案に基づいていたので非常に説得力があり、本書の特徴である「3週間で弱点を克服できる」という企画趣旨に沿って、3週間分の内容構成がその段階で具体的に記されていたからです。
どうして、こんなに具体的に21にもおよぶ項目設定ができたのかは、その後の奥村氏との付き合いのなかでわかってきました。彼は、何回かTOEICを自分で受験しているうちに、とうとう990点満点を獲得するに至るほどの実力の持ち主だったのです。そんな編集者のアドバイスに従いながら出来上がったのが本書です。
私たち著者は大学でTOEICを教えていますので、日本人学習者がどのような点を弱点としているのか、そしてどうすればTOEICの得点をアップできるのかについての教授法を知っています。その体験を本書のいたるところに生かして執筆しました。これまでの類書とはひと味もふた味も違った対策書になったのではないかと自負しています。問題の解説と解答を別冊にしたのも、本書が読者にとって使いやすくなるように配慮した結果です。本書を利用して得点アップを図っていただくことを心から願っております。
2003年1月
著者代表 古家聡