紹介
細胞像のクオリティに細心の注意を払い、経験に基づく鑑別所見も多く記載された、好評を博した初版を、執筆陣に新メンバーも加わり、細胞診をとりまく状況の進展に合わせて改訂。本書は細胞検査士を目指す初学者から現場で活躍するエキスパートまで、各症例の多数の細胞像で実践的な細胞のみかたを日常的に確認でき、細胞検査士がスキルアップしながら使えるテキストである。その症例画像の数は細胞診の専門書として類をみない。
初版では各臓器の専門分野の先生方の助言と指導も受け、腫瘍の細胞形態的所見(細胞のみかた)を記載した。本改訂版では各臓器の腫瘍の臨床的応用や考え方などには、初版時からの変化をできるだけ追加記載した。
第1部総論では、検体処理、標本作製法などの基礎知識からスクリーニングの要点、細胞の形を決める分子メカニズムや病理学総論も分りやすく解説。
第2部各論では各臓器の構造と機能の記載とともに、著者らの経験してきた多数の症例画像を掲載。
目次
第1部 総論
1 細胞の形態と機能
1 .一般的な細胞の構造と機能
2 .細胞分裂と細胞周期
3 .組織発生の概要
4 .細胞の形を決める分子メカニズム
2 病理学総論
1 . さまざまな刺激に対する細胞・組織の変化
2 .細胞の死
3 .炎症性病変
4 .腫瘍性病変
3 腫瘍総論
1 .がんの概要
2 .がんの疫学
3 .がんの原因、発生
4 .がんの臨床
4 細胞診の検体処理と標本作製法
1 .細胞診検体の処理方法
2 .液状化検体細胞診(LBC)
3 .細胞の固定法と固定液
4 .細胞診で用いられる染色法
5 細胞のみかた・スクリーニングの要点
1 .Papanicolaou の判定基準
2 .細胞所見の読み方・捉え方
第2 部 各論
1 婦人科
1 .女性生殖器の解剖と機能
2 .子宮・膣・頸部にみられる正常細胞
3 .ホルモン細胞診
4 .子宮頸部の細胞診
5 .外陰・膣の細胞診
6 .子宮体部の細胞診
7 .妊娠・絨毛性疾患の細胞診
8 .卵巣の細胞診
2 呼吸器 123
1 .呼吸器細胞診の歴史と役割
2 .肺の基本構造
3 .呼吸器細胞診の検体材料
4 .呼吸器の正常細胞・良性異型細胞・非細胞性物質
5 .呼吸器の悪性腫瘍
6 .肺癌集団検診と喀痰細胞診
7 .縦隔腫瘍
3 消化器
[口腔領域の細胞診]
1 .口腔・咽頭の構造
2 .口腔領域の組織分類
3 .口腔細胞診の報告様式
4 .口腔領域の疾患と細胞所見
5 .口腔領域の細胞診のこれから
[唾液腺の細胞診]
1 .唾液腺の構造と正常細胞
2 .唾液腺腫瘍の特徴
3 .唾液腺腫瘍の報告様式
4 .良性腫瘍
5 .悪性腫瘍
[消化管の細胞診]
〈食道〉
1 .バレット食道
2 .上皮内腫瘍
3 .悪性細胞
〈胃〉
1 .胃の構造と正常細胞
2 .良性異型細胞
3 .良性上皮性腫瘍
4 .悪性上皮性腫瘍
5 .非上皮性腫瘍
〈小腸〉
〈大腸〉
1 .大腸の構造と正常細胞
2 .腺腫
3 .悪性腫瘍
[肝・胆・膵の細胞診]
〈肝臓〉
1 .肝臓の構造と正常細胞
2 .良性異型細胞
3 .悪性細胞
〈胆嚢・胆管〉
1 .胆嚢・胆管の構造と正常細胞
2 .貯留胆汁細胞診の判定基準
3 .良性異型細胞
4 .悪性細胞
5 .胆道癌の前癌病変および初期癌病変
〈膵臓〉
1 .膵臓の構造と機能
2 .膵液・膵管擦過材料の細胞診
3 .超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診
4 甲状腺
1 .甲状腺穿刺吸引細胞診の意義
2 .甲状腺の構造と機能
3 .材料採取と染色法
4 .甲状腺細胞診の報告様式
5 .甲状腺の濾胞上皮細胞および細胞診で参考となる細胞所見
6 .甲状腺疾患と細胞所見
5 乳腺
1 .乳腺細胞診の意義
2 .乳腺の発生と基本構造
3 .乳腺腫瘍の病理組織分類
4 .乳腺細胞診の報告様式
5 .乳腺腫瘤の穿刺方法と細胞塗抹・処理方法
6 .乳腺腫瘤穿刺吸引材料にみられる良性細胞
7 .乳腺腫瘤穿刺吸引細胞診のみかた・考え方
8 .乳腺の良性腫瘍・良性病変の組織像と細胞所見
9 .異形上皮内病変
10.乳腺の悪性腫瘍の組織像と細胞所見
11.乳頭分泌の細胞診
12.乳腺腫瘍の最近の概念
6 泌尿器
1 .泌尿器系臓器の構造と働き
2 .尿路疾患の細胞診
3 .腎腫瘍
4 .前立腺腫瘍
5 .精巣腫瘍
7 体腔液
1 .漿膜の構造と体腔液
2 .体腔液細胞診
8 リンパ節
1 .リンパ組織の構造と機能
2 .リンパ球系細胞のみかた
3 .リンパ節の反応性・炎症性病変
4 .リンパ腫
5 .転移性腫瘍
9 その他の領域の細胞診
[中枢神経系の細胞診]
1 .神経系の区分
2 .神経組織を構成する細胞と機能
3 .脳腫瘍
[脳脊髄液(髄液)の細胞診]
1 .脳脊髄液(髄液)の機能と成分
2 .髄液の細胞診標本作製の留意点