紹介
がん診療に携わるすべての医療者たちに捧ぐ本邦初の“腫瘍緊急”本• がんとその治療にかかわる症状と病態―“腫瘍緊急(oncologic emergency)”に焦点を当てた,本邦初の“腫瘍緊急”本がついに完成• 分野を横断した医療者たちの知見が集約され,これまで分野別に切り離されて示されることの多かった腫瘍緊急が,初めてその全体像を表す• 「2人に1人ががんに罹患する」といわれている本邦において,腫瘍緊急対応は喫緊の課題である• がん診療に携わるすべての医療者の皆様の役に立つ,今まさに必要な一冊本書では,多くの異なる領域の先生方に腫瘍学(oncology)に特化した救急医療の現実をご執筆いただいた。(中略)異なる立場で腫瘍緊急の現状と特殊性を解説していただくことにより,それぞれの立場の考え方や適切な対応を知ることができ,さらには患者の家族的・社会的な背景を考慮した治療方針の決定ができると考える。―「監修にあたって」より本書には,専門に特化して分野ごとの腫瘍学に人生をかけてきた医師・研究者の「臨床に基づく知見と科学的洞察」「読者に対するメッセージ」があふれています。それらは,読者に新しい発見と明日の臨床へと向かう勇気を与えてくれるでしょう。 ―「編集にあたって」より
目次
第1章 総論
はじめに/腫瘍緊急(OE)とは/病態と分類/代表的な腫瘍緊急(OE)/おわりに
第2章 消化器腫瘍外科の立場から
1 上部・下部消化管
はじめに/食道疾患/胃疾患/大腸疾患/おわりに
2 肝・胆・膵
はじめに/肝細胞がん(HCC)破裂の概要/肝細胞がん(HCC)破裂の治療/おわりに
第3章 呼吸器腫瘍外科の立場から
はじめに/気道狭窄/上大静脈症候群(SVCS)/喀血/がん性胸膜炎/がん性心膜炎/おわりに
第4章 薬物療法専門医の立場から
薬物療法専門医の立場からみた腫瘍緊急(OE)/上大静脈症候群(SVCS)/気道狭窄/電解質異常/脊髄圧迫/消化器系の腫瘍緊急(OE)/泌尿器系の腫瘍緊急(OE)/腫瘍崩壊症候群(TLS)/発熱性好中球減少症(FN)/静脈血栓塞栓症(VTE)/播種性血管内凝固症候群(DIC)/おわりに
第5章 脳神経外科の立場から
はじめに/頭蓋内圧亢進/脳ヘルニア/脳腫瘍に関連した腫瘤効果(mass effect)/血管に関連する合併症/腫瘍性てんかん/てんかん重積状態/内分泌関連合併症/髄膜がん腫症(LM)/治療関連合併症/おわりに
第6章 血液腫瘍科の立場から
はじめに/血球増多による腫瘍緊急(OE)/血球減少による腫瘍緊急(OE)/凝固異常による腫瘍緊急(OE)/その他の造血器腫瘍による腫瘍緊急(OE)/おわりに
第7章 泌尿器科の立場から
はじめに/尿路出血/尿路閉塞/おわりに
第8章 がん免疫療法の立場から
はじめに/免疫関連有害事象(irAE)/マネジメント/サイトカイン放出症候群(CRS)/急速な腫瘍増大(HPD)の概要/おわりに
第9章 緩和ケアの立場から
はじめに/緩和ケアの概念,歴史的変遷/腫瘍緊急(OE)と緩和ケアの接点/人生会議(ACP)/DNR の概念/“ボタンの掛け違い”の防止対策/緩和ケアチームが遭遇する腫瘍緊急(OE)/生命予後の予測/緩和ケアにおける鎮静/おわりに
第10章 救急医の立場から
はじめに/今後,腫瘍緊急(OE)に向き合う救急シーンが激増する/悪性腫瘍(がん)そのものによって引き起こされる緊急病態/がん治療によって引き起こされる緊急病態/急性疼痛クライシス/救急診療で直面するend‒of‒life care/おわりに
第11章 在宅医療の立場から
社会の高齢化;本邦の医療の特殊性/本邦の在宅医療/がんと在宅医療/在宅医療における腫瘍緊急(OE)の課題と現状/症例/おわりに
第12章 麻酔科の立場から
はじめに/がんの再発・増殖と周術期管理/腫瘍随伴症候群に対する麻酔の対応/がんによる構造的なものや化学療法,放射線療法による合併症/分子標的療法と麻酔管理/おわりに