紹介
心理療法の治療要因を突き詰めていくと,「共通要因」と「治療外要因」の存在が7割を占めると言われている。──この本は,そんなさまざまな心理療法に共通する治療要因を賦活させ,その後,治療外要因を増強させる戦略をもった臨床心理アプローチ「改訂スリー・ステップス・モデル」の理論と方法をまとめたものである。
2011年の東日本震災以降,編著者らは,被災者の悲嘆やトラウマ反応にこころを痛め,その中で生まれたのがスリー・ステップス・モデルで,多くの臨床家が実践でき,短期間で効果のあるアプローチであったという。その後,森田正馬の「自然回復」などの考えも取り入れ,トラウマ反応だけではなく,さまざまなこころの問題に対処できるよう磨かれたのが,改訂モデルである。
「改訂スリー・ステップス・モデル」は,アプローチの種類を問わず多くの心理療法家も実践できるものであり,この本に,そのABCがだれでもわかりやすくまとめられている。多くの臨床家にとって必読の一冊である。
目次
第1章 心理療法の効果要因
二本松直人
第2章 改訂スリー・ステップス・モデル
若島孔文・鴨志田冴子・二本松直人
第3章 2nd stepに関する研究
小岩広平
第4章 3rd step介入
鴨志田冴子・二本松直人・若島孔文
第5章 実践とディスカッションを通じた接近
小林 智
第6章 シングル・セッション・ソリューション(3S:スリーエス)と改訂スリー・ステップス・モデル
二本松直人・鴨志田冴子・若島孔文
第7章 子どもを対象にした改訂スリー・ステップス・モデルの実践
浅井このみ・浅井継悟
第8章 1st stepを重視した改訂スリー・ステップス・モデルの実践
戸田さやか
第9章 家族療法の実践と改訂スリー・ステップス・モデル
平泉 拓・鴨志田冴子
第10章 改訂スリー・ステップス・モデルに基づき実施した“休息”介入の試みが効果的であった事例
春山蘭乃・内山彩香