紹介
はたして心理学とはなんだろうか、心理療法とはいかなる営みなのだろうか。
カウンセリング、セラピーなどの言葉が溢れるいまだからこそ、問い直す必要があるのではないだろうか。
心理学が通常の学術領域とは異なり、みずからを客観的に定義するという方法を持つことはなく、
心が心を見て、心を感じて、心と心の衝突するところに生まれるものだとも言えることに思いを馳せたとき、
心とは、個人の心であると同時に、「集合的なあり方」もしている「魂」であると考えた、
ユング心理学の意味と役割も見えては来ないか──。
臨床に携わる心理療法家たちが、フィールドワークを通じて問い直す。
現代ユング派心理学を代表するW・ギーゲリッヒ氏による、そもそも私たちが個人たることとはいかなることかを論じる重要論考「プリンシピウム・インディヴュデュアティニオスと個性化のプロセス」を収録。
心の悩みに、心が感じ、心と心が衝突する。心理療法の本質を考える7つの論考集。
目次
はじめに
第1章 心理学、あるいは、心理療法とは何か?──物語とイニシエーションと愛 猪股剛
第2章 心理療法と真実 兼城賢志
第3章 みえないこととのかかわり──喪失の底にエコーする論理 植田静
第4章 「ない」から生まれるもの イメージと心理療法をめぐって 西山葉子
第5章 私の心理学ことはじめ──手仕事としての心理療法 坂井朋子
第6章 太陽は受け取ることなく与え続ける ジル・スタッサール(ゲスト)
第7章 プリンシピウム・インディヴュデュアティニオスと個性化のプロセス W・ギーゲリッヒ
コラム
佐渡島フィールドワーク 鬼太鼓とLA PAGODE 植田あや
錬金術と刀鍛冶 村田知久
鬼太鼓を見に行く 宮澤淳滋
読書案内✕3 長堀加奈子、村田知久、星子智志