目次
キャベツくんのおしゃべり
ゾウのオジイサン
こうえんのすなばであそびましょ
前書きなど
長新太さんは、一九二七年に東京に生まれました。
マンガ家としてデビューしたあと、二〇〇五年に亡くなるまで、たくさんのユニークな絵本や童話をつくりました。いろいろな作家と組んだ絵本や、さし絵の仕事もあります。
どれも、この本のお話と同じように、ちょっととぼけたキャラクターが登場したり、現実にはありえないできごとがつぎつぎとおこったり、ふしぎで楽しいお話ばかりです。
「どうぶつたちがはしっていく」と「きゃべつくんのおしゃべり」の2冊には、5つのお話がはいっていますが、どれも、ちょっとかわったどうぶつたちがでてきて、ふしぎなじけんがおきたりします。
「どうぶつたちがはしっていく」では、なぜかある日、どうぶつえんのどうぶつたちがいっせいにはしりだしたので、おまわりさんもびっくり、へんてこなおじさんまで登場します。「ぞうのおねえさん」では、お年ごろのぞうのおねえさんが、しわの多いことでなやんでいます。たぬきのおいしゃさんにそうだんすると、ポンポコ、ポコペンとはらづつみをうちながら、どうぶつたちをよびよせました。さて……。
「きゃべつくんのおしゃべり」の、きゃべつくんのともだちは、ねこのももよちゃん。でも、きゃべつくんをぽーんとほうりなげてあそぶんです。「こうえんのすなばであそびましょ」で、すなばからでてきたのは、なんと、ちきゅうのはんたいがわからやってきたゴリラでした!
こんなおどろきの発想と、どうぶつたちのすっとんきょうなおかしさが、このお話絵本のみりょくです。子どもたちはむちゅうになって読み返しては、そのたびに声をだしてわらうでしょう。どうぞおとなも、えんりょせずにおおいいにわらってください。
長さんの絵本も童話も、ふつうだったらおこりえないような、ふしぎなできごとがつぎからつぎへとつづいていきます。それをあたりまえのように受けとめる、長さんの語り口もおかしいので、おもわずわらってしまうのです。
お父さんやお母さんは、ぜひお子さんといっしょに、お話を読む楽しさをあじわってください。文字を追えるようになったお子さんは、自分で読む本としてちょうどよいでしょう。本を読むおもしろさをあじわって、きっと、本を読むのがすきになってくれるはずです。
「あとがき」より:野上暁(児童文学評論家、日本ペンクラブ常任理事・子どもの本委員長)