目次
序章 「大活字本」の世界へようこそ
序.1 「本の飢餓」という問題
序.2 少なくない「プリントディスアビリティ」のある人(=視覚障害者等)
序.3 読書をあきらめなくていい環境づくりの必要性
序.4 本書の構成と概要
第1章 「読書バリアフリー法」とは何か
1.1 「読書バリアフリー法」制定の経緯
(1)「マラケシュ」条約締結と「著作権法」改正
(2)「障害者差別解消法」の制定・施行
1.2 「読書バリアフリー法」の内容
1.3 「読書バリアフリー法」制定後の展望
第2章 さまざまな「バリアフリー資料」
2.1 多様な読書ニーズとスタイル
2.2 「バリアフリー資料」の種類と特徴
(1)点字図書(点訳絵本、点字付きさわる絵本を含む)
(2)音声図書(オーディオブック、録音図書)
(3)布の絵本
(4)LLブック
(5)手話付き絵本
2.3 大活字本
2.4 ICTの持つ利便性
2.5 「バリアフリー資料」の現状
2.6 「著作権法」の規定と「バリアフリー資料」
第3章 「大活字本」のあゆみ
3.1 はじまりは「拡大写本」づくりから
(1)「拡大写本」前史
(2)「拡大写本」の登場
(3)法律の壁を変える
3.2 「大活字本」出版の展開
第4章 「大活字本」出版の現状と展望
4.1 「大活字本」出版の現状
(1)三和書籍
(2)埼玉福祉会
(3)大活字
(4)大活字文化普及協会
(5)読書工房
(6)三省堂
(7)河出書房新社
(8)響林社
(9)樹立社
(10)舵社
(11)ゴマブックス
(12)新星出版社
(13)成美堂出版
(14)かまくら春秋社
4.2 「大活字本」出版のこれから
第5章 「大活字本」を読む
5.1 図書館などにおける「大活字本」提供の実際
(1)公共図書館
(2)学校図書館
(3)福祉施設
5.2 書店などにおける「大活字本」販売の実際
5.3 読者による「大活字本」利用の実際
第6章 アクセシブルな電子書籍への期待
6.1 電子書籍の出版・流通はいま
6.2 アクセシブルな電子書籍とそうでない電子書籍
(1)電子書籍コンテンツのフォーマットによる違い
(2)電子書籍コンテンツのフォーマット以外の要素
6.3 アクセシブルな電子書籍の普及に向けて
(1)出版社
(2)電子書店(ストア)
(3)電子図書館(電子書籍サービス)
(4)大切なのは生かすこと
終章 読書から「誰一人取り残さない」社会の実現に向けて
終.1 「誰一人取り残さない」は読書にも
終.2 「大活字本」が牽引する「読書バリアフリー」
終.3 読者=私たちにできること
終.4 役立つブックリスト
前書きなど
自分が読みづらくなったとき、みなさんはどうしますか。「目が見えにくくなったから、もう歳だし、本を読むのはやめよう」とあきらめてしまいますか。どうかあきらめないでください。
「本の飢餓」も「プリントディスアビリティ」も加齢に伴う読みづらさも、決して自分に障害があるからとか、歳だから仕方ないなどと、思わないでほしいのです。“読みたくても読めない状態”は、その状態にある個々人のせいではないのですから。
では、どうしたらよいのでしょうか。
その答えの1つが、「これまでの読書を取り巻く環境を変えていくこと」です。つまり、「本の飢餓」を解消して、障害や年齢に関わらず、誰もが読書できる環境の実現を目指して取り組みを進めるのです。
ーー「序章」より