目次
1北海道・東北編
2 関東編
3 東京編
4 中部編
5 近畿編
6 中国・四国編
7 九州編
8 海外編
前書きなど
「はやぶさ」を実現させ、成功に導いた数々のゆかりの場所。そこはいわば、「はやぶさ」パワースポットと言ってもよい。
先人達のはじめた我が国の宇宙開発50年の成果こそが、いま、「はやぶさ」として現れたということができる。われわれ、はやぶさプロジェクトメンバーは、たまたま、この出るべくして出た成果の担い手として、この時期に従事していただけである。先人の方々もふくめ、多くの苦心の集大成こそが、「はやぶさ」の成功だった。
日本全国、また世界の随所に、「はやぶさ」を成功に導いた鍵となる場所が存在する。それらの町には、糸川先生や数多くの先輩の方々が、まさに汗を流し、また失敗に涙を流し、成功に歓喜の声をあげた瞬間瞬間が刻み込まれている。彼らは、決して、宇宙科学研究所(宇宙研)や JAXA の方々だけではない。われわれ「はやぶさ」プロジェクトでもそうだったが、宇宙研、JAXA とかメーカさんとかを区別せず、ともに開発から飛行の運用までを歩んだ仲間として、多くの方々がその努力を重ねた場でもある。
宇宙科学研究所(宇宙研)に関わる施設が所在する市町村は、銀河連邦を構成し、成果をともによろこび、また、苦しんだ折りには励ましをいただいてきた。本書でも触れているが、群馬県富岡市、太田市から、川越、相模原、鴨居と続く道は、日本のシルクロードと呼ばれる。奇妙なことに、これらの町には、みな「はやぶさ」が深く関わっている。ぜひ、本書を一読いただきたい。
本書を片手に、ふらりとおもむき、そして、その場にたって目閉じて、昔日に思いをめぐらせば、「はやぶさ」にいたる歴史を感ずることができるであろう。この本には、それらの場所だけではなく、宇宙研、JAXA を応援し、またともに歩んだ地元自治体、商工会議所の協力により、地域のゆかりの名品、名産をも折りに触れて紹介した。それらを手にしてみるのも、パワースポットに触れる一部になるかもしれない。
関連のお仕事をされていた方はもちろん、本書に掲げた各地にゆかりのある方々には、認識をあらたにされることと思う。また、これから社会に巣立つ方々、学生のみなさんには、我が国が独自に培った半世紀にわたる先人の苦難と慶びを感じ取り、創造を生む自信と希望を抱くよいきっかけとなれば何よりと思う。そんなきっかけとなれば、監修者としてなによりである。