目次
まえがき 興福寺寺務老院 多川俊映
斑鳩—大ケヤキに群れ遊ぶ鳥/藤ノ木古墳の謎とロマン①—
被葬者を意識した太子/法隆寺建立前後の仏教—教義が政治
の基礎に/太子道をゆく—伝承の道さまざま/斑鳩寺炎上—
再建・非再建の迷路/大坂冬の陣と法隆寺—家康が阿弥陀院
へ/排仏の嵐の中で—幕末の混乱/真言宗へ所轄依頼—整理
統合求める布告/法隆寺宝物の重要性—壬申の文化財調査/
待望の法相宗独立—上野での解協議/救世観音の秘仏化—白
布に巻かれて/百年前の法隆寺—子規は何を見たか/百万塔
の譲渡—復興へ苦悩の決断/聖徳太子1300年御忌奉賛会—渋
沢栄一を説得/法隆寺の後継者—佐伯良謙を迎える/無残、
金堂炎上—国内外に衝撃/聖徳宗へ—難しかった円満独立/
法隆寺の小僧となる—江戸時代のような寺内/古い瓦との出
会い—宝探しに熱中した日々/法隆寺資料の収集—充実の法
隆寺年表作成/棟札や瓦銘が語る—匠が残した当時の世相/
法隆寺住職の就任式—「印鎰之儀」を再興/世界遺産登録決
定—ファクスで登録通知/昭和資財帳完成を祝う—「国宝法
隆寺展」に反響/法隆寺別当第を改正—古文書を整理して/
ルーブルの百済観音—シラク大統領の拝観/百済観音堂落慶
—5日間の大法会/法隆寺住職を勇退—住職の任期5年を提唱
/等全200話
あとがき 帝塚山大学考古学研究所特別研究員 甲斐弓子
髙田良信長老猊下、そして読者の皆様へ
朝日新聞編集委員 小滝ちひろ
前書きなど
本書は、法隆寺の歴史に通暁されその管主を勤められた髙田良信
さんの最後の著述といってよく、奈良新聞に連載された「私の法隆
寺物語」をまとめられた一書である。
連載期間は、平成13(2001)年6月から月1回のペースで、
平成30(2018)年2月の200回で掲載終了した。実は、良信
さんの遷化は平成29年4月で、翌5月は休載したものの6月から再
び掲載され(192回)、全200回に至ったものである。つまり、
かなり早い段階で200回まで書き進められ、掲載担当記者に手渡
されていたのだ。いずれにせよ、連載終了を2月にもってこられた
のは、常にお太子さんご命日の2月22日を強く意識しておられた、
いかにも良信さんらしい几帳面さだ(当日はご自身の誕生日でもあ
る)。先ずは、それが偲ばれる。(略)
「まえがき」より 興福寺 寺務老院 多川俊映