目次
第1章 声で、人は9割見抜ける
人は「声」によって、コロッと騙される/声を読むことで、わたしが勝ち取ったスゴい成果/声がわかれば九割型、相手もわかる/古代から伝えられてきた「声で人を読む」発想/「拒否的な声」の人ほど、商談が成立する可能性は高い/声が読めれば、こんな“戦略”が可能になる/大きな声、元気のいい声、明るい声にダマされるな/「棒読みしているとき」と「真摯に話しているとき」の声の違い/コミュニケーションは“声を読んで”こそ成立するもの/声は“その人”を反映している
第2章 声には、その人のすべてが表れる
「ウソを言うとき」に表れる声の特徴/感情がこもる前の「基準の声」を知る/声が「開く・閉じる」「高い・低い」かで相手の性格がわかる/[感情型」タイプは正論に弱い?/形式的にしか挨拶をしていない人の声/早口で喋る人は、「視覚優先」でものを考える人?/声で相手の性格を見抜くヒント/声の微妙な変化に注意せよ/声によって相手の心理を見抜く/「声に変化のない人」も要注意
第3章 実際に声を読んでみよう
ケース1 アナウンサーの声を読んでみる
アナウンサー的発声の“長所”と“短所”/「好かれる」ことを優先するか、「伝える」ことを優先するか/有名なニュースキャスターの声を読んでみる
ケース2 家族の声を読んでみる
親しいからこそ見過ごしてしまう声の変化/「自分の感情」にとらわれては、会話もすれ違うだけ
ケース3 上司の声・部下の声を読んでみる
部下や後輩の声に、どのくらい注意を払っているか/声によって「部下のタイプ」を見抜く/たとえば、このお客さまには、どんな声の営業担当をもってくる?/上司の声をどのように読むか
ケース4 営業マンの声を読んでみる
気持ちの入ってない声は、意識するだけでスグ感じ取れる/声の「人間らしさ」に注目する/「ダマそうとしている相手」を見抜く術
ケース5 お客さんの声を読んでみる
「好印象を与える声」と「悪印象を与える声」/「厳しい声」の顧客こそ大事にせよ
第4章 声で主導権を握る会話術
相手の心理を誘導する二つの声の戦略法/戦略発声法……声のグー・チョキ・パー/ペーシング……相手と同じトーンの声で対応する/「声の戦略」を親子間の会話に生かす…親子ゲンカにならない声の使い方/上司との会話に「声の戦略」を生かす…上司のわがままをどう交わすか/部下との会話に「声の戦略」を生かす…ブラフを使って部下にクギを刺す/ストロークによって部下のモチベーションを上げる/セールスパーソンに声を使い分けて対応してみる/顧客に対して「声の戦術」を活用する
第5章 声力を高めれば、効果倍増
呼吸を強くするトレーニング/姿勢をよくするトレーニング/アゴを柔らかくするトレーニング/「開いた声」を出してみる/「閉じた声」を出してみる/声のスイッチを切り替えるトレーニング(1)/声のスイッチを切り替えるトレーニング(2)/声を回すトレーニング/朗読のトレーニング/声の疲れをとるマッサージ
前書きなど
口やかましい上司に意見を通す……。
ものわかりの悪い部下を、思うように動かす……。
不機嫌な顔をしている顧客に、商品を購入してもらう……。
コミュニケーションがいつも難しいのは、相手の心の中が読めないからだ。
したがって、何を言っても、どのような言葉を使っても、なかなか自分の思うように相手は動いてくれない。そんなときに、相手の心理をズバリ見抜くことができたらなあ……と、私たちはいつも思う。
そんな方法は、はたして存在するのだろうか?
本書では読者の皆さんに、一つのヒントを示唆したいと思う。
それは相手の「声」に注目してみたらどうか、ということである。
私は保険会社のマネジャーとして長く営業の世界にかかわり、現在は独立して、交渉の専門家として活動している。そのかたわら、二つの大学で交渉学や企業のリスク管理、プレゼンテーションについて教鞭をとる立場にもなった。
しかし一貫してライフワークとして行なってきたのが、歌手としての活動である。すでにこちらもプロとして、イタリアやスペイン、チェコなどで演奏活動をしている。さらに現在は、コペルティ(マンツーマンのヴォイス・トレーナー)として発声法を指導するようにもなった。
昔から歌手としての勉強を続けてきた私は、人とのコミュニケーションにおいて、声そのものを非常に重視してきた。それは「商品を売る」という仕事や、「部下を生かす」という仕事に大きく貢献してきたし、その結果が「戦略発声法研究所」を立ち上げる土台にもなっているのだ。
相手の声を読むことができれば、コミュニケーションにおける自分の立場は、非常に優位になる。しかも表情や外見、あるいは巧みにつくった売り文句や美辞麗句と違い、多くの人間は声を偽る術を知らない。
よって本音を見抜くには、絶好の材料になるのである。
本書で紹介するのは、私が長年にわたって蓄積してきた「声を読む」ための方法論である。また、ただ単に声を読むだけでなく、「その声にどう対応するか」のノウハウとして、後半では自らの声の出し方についても述べていきたい。
コミュニケーションに悩む多くのビジネスパーソンだけでなく、「夫婦でよくケンカをしてしまう」「恋人の気持ちが読めない」「強面のセールスマンを、うまく撃退できない」などなど、日常の会話で苦労している人たちに対しても、本書はお役に立てることと考えている。
ぜひ、これから述べることを、あなたの人生の一コマ一コマに役立てていただきたい。