紹介
全米図書賞受賞作!
子を宿した15 歳の少女エシュと、南部の過酷な社会環境に立ち向かうその家族たち、仲間たち。そして彼らの運命を一変させる、あの巨大ハリケーンの襲来。フォークナーの再来との呼び声も高い、現代アメリカ文学最重要の作家による神話のごとき傑作。
「登場人物の内なるパッションとメキシコ湾で刻々と勢力を増す自然の脅威が絡まり合い、廃品と鶏に囲まれて暮らす貧しき人々のまっすぐな生き様の中に、古典悲劇にも通じる愛と執着と絶望がいっさいの気取りを排した形で浮かび上がる」――「ワシントン・ポスト」
「カトリーナによりもたらされた破壊と、すべてを洗い流された海辺の街の原初の風景について、本書は水没したニューオーリンズの映像よりもはるかに多くを教えてくれる」――「ニューヨーカー」
「ウォードの堂々たる語りには、フォークナーを想起させるものがある。今日的な若者言葉と神話的な呪文のリズムの間を自由に行き来し、パッションの発露を怖れない。苛烈な物語のほぼ全編に、パッションが満ちあふれている」――「パリ・レビュー」
目次
一日目 裸電球の下での出産
二日目 隠された卵
三日目 土の中の病原菌
四日目 盗む価値
五日目 骨を引き上げろ
六日目 確かな手
七日目 闘う犬と闘う男たち
八日目 思い知らせる
九日目 ハリケーン日食
十日目 無限の目の中で
十一日目 カトリーナ
十二日目 生きている
謝辞
カテゴリー5のハリケーンを生き延びて
ジェスミン・ウォードとの質疑応答
訳者あとがき