前書きなど
〇著者あとがきから
私は小さい子どもの時からソケイヘルニアがあり、ソケイ部の違和感が嫌でたまりませんでした。お医者さんに手術が必要だと言われていましたが、手術が怖かったのでずっと我慢をしていました。中学生になって、やっと手術を受ける決心をしました。
手術は臭く嫌なにおいのするガスを吸入する全身麻酔で行われました。寝ている間に手術は終わり、目が覚めたら病室にいました。
手術の後は傷が痛いばかりでなく、とてものどが渇いて我慢するのが大変だったのを覚えています。8日間の入院を要しましたが、頑張ったかいがあり、ソケイヘルニアは治りそれまでの不快感はなくなりました。こんなことならもっと早く手術しておけばよかったと思いましたが、手術の大きな傷は今でもおなかにしっかりと残っています。
これらの手術の体験は私にとって大きなトラウマとなりました。
小児外科医になり、ソケイヘルニアの手術をするようになった今、私は、入院日数を短くする、嫌なにおいのない全身麻酔、喉が渇かないような輸液管理、醜い創痕を残さないような手術など子どもたちが安心して手術を受けられるように心がけています。
幼い子どもたちが少しでも怖いと感じることなく手術を受けることができ、手術後もトラウマを残すことなく成長してくれることを願って、「しゅじゅつってこわくないよ」の絵本を作ることを考えました。
この本が手術を受けようとする子どもたちと家族の人たちにとって少しでも役に立てば大変うれしく思います。