目次
Ⅰ 知られざる郷土史
犬養木堂と孫文の交友は同床異夢か?
「山田方谷が閑谷学校を再興した」は正しいか
終戦直後に特攻出撃した岡山市出身の宇垣纏海軍中将
昭和初期、鳥人幸吉の解明に努めた竹内陸軍中将ら2人の先人
江戸後期、ロシアに捕らわれた豪商高田屋嘉兵衛と備前・日比村の金蔵
二・二六事件、岡山市出身野中四郎大尉自決の謎
Ⅱ 歴史の行間
ハワイでハンセン病患者救済に尽くしたダミアン神父
鹿児島・万世特攻基地と清武英利著『「同期の桜」は唄わせない』
福山・ホロコースト記念館と「子どもの靴」
長崎・軍艦島探訪と岡山市出身の小説家江見水蔭
太平洋戦争開戦時、ハワイ真珠湾攻撃の特殊潜航艇5隻が訓練した愛媛・三机湾
大河ドラマ「真田丸」ゆかりの地と真田紐伝説
大原孫三郎は岡山県実業教育の先駆者
大和・纏向遺跡で探る吉備古代ロマン
Ⅲ 岡山のうちそと
鹿児島県の知覧、鹿屋で特攻出撃を考える
大平正芳記念館(観音寺市)の閉館を惜しむ
岡山産マスカットのルーツ・兵庫県稲美町を訪ねる
シリア・パルミラ遺跡の神殿爆破と美しすぎた女王ゼノビアの悲劇
博物館網走監獄と志賀直哉、高倉健
あとがき
前書きなど
ここ数年は「備中松山藩元締役山田方谷を正しく理解しよう」にも力を入れている。方谷は優れた教育者であり、藩政改革にも8年間取り組んだのは事実。だが晩年「借金は踏み倒した」「蓄財も費消してしまった」と告白しているのに、平成不況のさ中に突然、「8年間に藩借財10万両返済、蓄財10万両」と方谷をもてはやすようになった。
地元高梁市では “財政改革の神様方谷”を全国に広めようと、数年前NHK大河ドラマ化運動が2015年実現を目指しスタートした。同年に固執したことは不思議だったが、いまだに実現の見通しは立っていない。私は「借財返済、蓄財の根拠はあいまい」と再三指摘、方谷の正しく理解を訴えている。本書には方谷を閑谷学校再興者とする風潮の誤りを載せている。
「老いてなお 命の限り ペンを持つ」は老境に入った私の固い決意。今後も埋もれた郷土史を発掘するとともに、「山田方谷を正しく理解する」ことに努めるつもりだ。
(あとがきから)