目次
開会のあいさつ
千葉喬三(就実学園理事長)
基調講演Ⅰ 日本再生をいかに図るべきか?
ビル・エモット(就実大学客員教授)
基調講演Ⅱ 世界から見た日本 ~アジア・日本のOpportunity
出井伸之(クオンタムリープ株式会社代表取締役ファウンダー&CEO)
パネルディスカッション
地方は日本再生の原動力たり得るか
ビル・エモット(就実大学客員教授)
出井伸之(クオンタムリープ株式会社代表取締役ファウンダー&CEO)
小嶋光信(両備ホールディングス株式会社代表取締役会長兼CEO)
石川康晴(株式会社クロスカンパニー代表取締役社長)
総合司会 杉山慎策(就実大学経営学部学部長)
閉会のあいさつ
稲葉英男(就実大学学長)
前書きなど
就実学園理事長 千葉喬三
今日は、「ビル・エモットと語る日本再生と地域創生」という演題で三部構成になっており、まずビル・エモット様からご講演をいただき、「日本再生をいかに図るべきか?」という非常に興味深い、また重い題でありますがお話しいただきます。その後、出井様から、「世界から見た日本 アジア・日本のOpportunity」ということで、ご自分の経験を踏まえて、大変示唆に富んだお話が聞けると期待しております。その後、そのお二人と、小嶋様と石川様の4人でディスカッションという構成にしております。今日の題ですけれども、一つは「日本創生ができるか」ということ。ビル・エモットさん流に言えば、
「また日本に日は昇るのか」という話だと思いますが、それと地域の創生ということを掲げております。安倍首相もしきりに言っておりますように、「地域」あるいは「地方」という言葉をよく聞くのですが、言葉は幾つも出てくるのに、いったいどういうプログラムでどんなスケジュールでやっていくのかという話は一向に出てこなくて、言葉だけが踊っているという気がいたします。そういうことでは日本の再生など覚束ないと思っています。
私たちは資本主義経済の中で生きているわけですが、資本主義経済というのは、宿命的に資源の集中をしないといけないということで、これは資本主義の持っている根源的な仕組みで、従来はそのシステムの中でやってきたわけです。そういうやり方で果たしていいのか、経済はそれで動いていくけれども、社会や社会を構成している人間そのものにどんな展望が開けるんだろうかという素朴な疑問があります。
特に日本のように成熟社会に入った所では違ったパラダイムがいるのではないか、というふうに私自身は考えております。その一つとして、やはり集中をいかに分散させるかということにあると思っています。その一つが地域創生ということだと思います。私は自分の専門として生物学の生態学をずっとやってまいりました。生態学をしていると、非常に大きな示唆があります。今、地球上には3000万種ぐらいの生物がいるんですけれども、それを40億年かけて広げてきたわけです。そういう社会がなぜ安定的に維持できるかというと、それは集中をしなくて分散をしているからです。ダイバシティを持っているからこそ、全ての生物が地球上に存在しうるというモデルを生物は経験的に試行錯誤の末につくっているわけです。
そういうことを見ますと、やはり集中だけではなくて、何らかの分散機構といいますか、そういうパラダイムを私たちの生活の中につくっていかなければならないと思います。少なくとも日本は、そういう形でもう一度この国を立て直さなければいけないのではないかと常々思っています。そういうこともありまして、今日は日本再生のために地域をどうするかというテーマについて、いろいろなお話やディスカッションを通して、皆さんと一緒に考えていきたいと思っております。今きちっと考えて行動に移さないとこの国はもたないだろうというぐらいに思っています。この国がもたないということは、世界がもたないということにもつながってきますので、ぜひここは何かの新しいアイデアと新しい行動がいるのではないかと考えております。今日のフォーラムがそういうことへのきっかけになれば、この企画をした意味があったと思います。