目次
一 神庭の滝とその周辺の岩石について
二 旭川の中流域の自然と植生
三 旭川と勝山
四 久世に白猪屯倉はあったのか
五 志呂神社と誕生寺川流域
六 吉備高原都市
前書きなど
岡山理科大学『岡山学』研究会が刊行する、シリーズ『岡山学』がこの『旭川を科学するPart2』で四冊目になります。
岡山理科大学『岡山学』研究会は、一九九九年に岡山理科大学の総合情報学部の教員が中心になって、「岡山」という地域を対象に、自然科学、人文科学、情報科学などいろいろな方向から検討して、明らかにしていこうという目的で作られた研究会です。
これまで「岡山市朝寝鼻貝塚」、「備前焼」、「吉井川」、「旭川」などをテーマにシンポジウムを開催してきました。そしてシリーズ『岡山学』1として『備前焼を科学する』、同2として『吉井川を科学する』、同3として『旭川を科学するPart1』を刊行してきました。今回は、昨年開催した第七回『岡山学』シンポジウム「旭川〜流域を科学する パート2〜」を一冊にまとめることにしました。
「旭川〜流域を科学するパート2〜」では、パート1が旭川全般と上流域の蒜山地域を主な対象としていましたので、その継続として旭川の中流域を中心に検討することにしました。
まず、情報地質学が専門の能美洋介さんに、「神庭の滝とその周辺の岩石について」というテーマで、この地域の大地がどのようにできあがったのか、どのような特徴をもつのかなどについて、地球科学の面から述べてもらいました。
次に、植物生態学が専門の波田善夫さんに、「旭川中流域の自然と植生」というテーマで、「木材の町勝山」「醍醐桜の落合」「ミツマタの栽培」などの内容について述べてもらい、そして、そのまとめとして「地質・地形と人々の暮らし」の関わりについて述べてもらいました。
三番目に、地元真庭市教育委員会で活躍されておられた橋本惣司さんに、「旭川と勝山」というテーマで、勝山の原始・古代から近世・江戸時代までの歴史を旭川との関わりの中で述べていただきました。
四番目に、考古学が専門の亀田が、「久世に白猪屯倉はあったのか」というテーマで、おもに久世地域との関わりが述べられることが多かった「白猪屯倉」が本当に久世の地域にあったのか、少し新しい成果を含めて述べました。
五番目に、歴史学(東アジア古代史)が専門の志野敏夫さんに、「志呂神社と誕生寺川流域」というテーマで、御津郡建部町にある「志呂神社」について、津山市中山神社との関わりや誕生寺川流域との関わりを中心に述べてもらいました。
最後に、民俗学が専門の高野洋志さんに、「吉備高原都市」というテーマで、旭川と高梁川の中間地域、吉備中央町に展開した吉備高原都市計画の現状と課題について述べてもらいました。
このように今回は地球科学1、生物学1、考古学2、歴史学1、民俗学1と文化系的な内容が多いようですが、岡山理科大学『岡山学』研究会が目指している理系と文系の総合化は十分なされていると思われます。
旭川中流域の自然と歴史などがよりご理解いただければ幸いに存じます。
二〇〇六年一一月一日
岡山理科大学『岡山学』研究会代表 亀田修一