紹介
明治25年(1892)から明治27年にかけて、旧制松山中学校で英語教師を務めたヘンリー・ガブリエル・ホーキンスは、帰国後、日本での見聞を滞在中(明治25年7月10日江戸湾着~明治27年4月離日)の二十ケ月を記した小冊子『Twenty Months in Japan』にまとめ、刊行した。本書はそれを翻訳したものである。
明治25年の夏の松山は、若き日の正岡子規、夏目漱石、碧梧桐、虚子らがいた時期であるが、その当時の松山の様子を、異国人ホーキンス先生が客観的に語っているという、興味深いものである。その観察は克明で、かつ教師としての温かい眼差しで、当時の松山とそこに暮らす人々の様子がありありと描かれている。
目次
1.太平洋ロイヤルメイル蒸気船「エンプレスオブジャパン号」
2.江戸湾と横浜
3.会議が開かれる ―目新しい光景と音―
4.山の保養地にて
5.パスポートが無ければ
6.日本の家屋
7.外国人の日本での暮らし
8.松山―温泉の町
9.祝宴―日曜日の街
10.礼拝参加
11.小川に沿って
12.新年の祝い
13.雪と雪像
14.城への散策
15.夏の暑さ
16.祭りと祝日―神輿
17.山腹の家
18.第三宇和島丸乗船記
19.年老いた神主
20.絵画
21.聖書を携え町や寺院や島へ
22.伝道活動と学校生活
23.私を憎むものは私の父をも憎む
24.友となった少女たち
25.神戸港から阿蘇火山へ
26.内海にて
27.温泉の街
28.イエズス会の回想
29.火山への道のり
30.山腹を登り頂上へ
31.郊外の山を越えての小旅行
32.古美術品
33.日記より
34.生徒の作文 (「清」「中間」「司馬温公」)
35.日本を離れ帰国の途へ
36-1.参考資料1 三四 生徒の作文の原文
36-2.参考資料2 河東碧梧桐の英作文原稿
37.著者略歴
38.あとがき