目次
はしがき
第1章 地方都市の中心市街地空洞化と都市空間経済論
第2章 地方都市中心市街地の空洞化の三重奏
第3章 改正大店法・消費不況と大型店の出店戦略
第4章 改正大店法下での大型店舗網の再構築
──ジャスコを事例として
第5章 地方都市中心部商業集積の空洞化
第6章 商店街の盛衰分析と再構築の視点
第7章 地方中核都市における中心市街地活性化基本計画
第8章 中心市街地活性化基本計画とTMO
第9章 大型店の出店攻勢と地方中核都市近郊商店街の対応
──改正大店法下での福島県内4町を事例として
第10章 修景とワークショップのまちづくり
──会津若松市七日町通り
第11章 ミニ資料館のまちづくり
──山形県高畠町中央通り商店街
終 章 本書の要約と若干の展望
参考文献
あとがき
前書きなど
本書は、大型店の立地・再編を重層的に把握し、商業活動を軸とする地域経済システムの変動を立体的にとらえようとするところに特徴をもつ。その分析の基本的枠組みは次の通りである。大型店の立地・再編の骨格は大手スーパーの立地戦略に規定されており、この大手スーパーの立地戦略は大手スーパー間の広域での商圏掌握競争というレベルで展開される。これに対して中堅スーパーは、地域的基盤をもちつつ、大手スーパーと連携ないしは対抗しながら地元商圏を確保するという立地・再編戦略をとる。これらのスーパーの店舗展開はさらに新業態の開発投入を含めて進められる。商店街を形成してきた個別商店は、大手・中堅スーパーの攻勢によって系列的な業態転換かそれとも廃業かの選択を迫られている。かくて商業集積としての商店街は「企業空間」への転換かそれとも「空洞化」かの選択を迫られるが、「産業集積」としてサバイバルする道も残されていないわけではない。(「はしがき」より)