紹介
多くのデザイナーに影響を与えてきた
情報デザイン分野の第一人者が、
30年にわたる経験と実例から、
そのデザイン哲学、
これからのデザインの可能性を語る
須永先生の授業に出会えなければ、
いまの僕は存在しなかっただろう。
――水野学[good design company]
多摩美術大学に情報デザイン学科をつくり、日本の美大に「情報デザイン」という概念を定着させ、これまで数多くのデザイナーを育ててきた須永剛司。
本書では、「デザインとは何か」という根源的な問いかけから出発し、自身の思考の歩みや教育現場での実践を再考察しながら、現代の情報デザインの課題、人間のためのデザインのあり方を論じていく。
目に見えない情報の時空にかたちを与える「情報デザイン」。その試みを続けてきたからこそわかったデザインのおもしろさ、デザインの知恵を使うことで人々が自発的に社会をかたちづくっていけることの気づきなど、第一人者ならではの視点から、かつてない伸びやかで多角的なデザイン論が展開される。人間とデザイン、社会とデザインのあり方を考え、デザインの可能性を問い直すための優しさとヒントに満ちた一冊。
目次
はじめに デザインの探検にようこそ
第1章 デザインを見つめると?──情報デザインの原点をふり返る
・デザインとは何だろう?
・デザインがあつかう言葉の道具
・情報デザインの領域
・情報デザインの視点
・HCIが起こしたパラダイムシフト
第2章 情報デザインの学び方──無重力の場をかたちづくる教室
・デザインを学ぶための三つの教室
・情報デザインのカリキュラム
・情報デザイン学科の野菜づくり
第3章 6つのデザインスタディーズ──情報デザインの可能性を拓く
・Study 1 運転支援の情報デザイン
・Study 2 映像アーカイブの情報デザイン
・Study 3 協働をうながす情報デザイン
・Study 4 地域の生きた資産をシェアする情報デザイン
・Study 5・6 市民芸術を創出する情報デザイン
第4章 パイオニアたちとの出会い──世界の先駆者から学んだこと
・デザインと学問の接点を得る
・生まれたての認知科学に踏みこむ
・スタンフォード大学の在外研究で
・アラン・ケイの言葉
・アアルト大学とコリング・デザイン大学で
第5章 社会のかたちをつくり合う──生きたい社会をデザインするには?
・社会的なデザインが求められる時代へ
・看護師たちの対話の場
・福祉型就労支援の新たなかたち
・社会的デザインとデモクラシー
第6章 芸術と科学の新たな関係──知覚と概念の統合を目指して
・芸術と科学の探求のやり方
・拡張するデザインから考える
・芸術デザインのあり方についての考察
・芸術デザインの展開
・デザインの知
・二つの知をむすびつけるために
第7章 デザインできるようになる──子どもたちのいるデザイン学校
・知覚と創造についての考察
・デザインにおける一人称「私」
・デザインの合理性と言語
・子どもにも大人にもデザインを
おわりに エキサイティングな実践を