目次
序章 今なぜ、イギリスの炭鉱ストライキ(一九八四-八五)の物語を描くのか
はじめに
新自由主義社会への「敗者の眼」
顧みられるレジェンド
日本の労働界へのメッセ-ジ
叙述の底流――産業民主主義のゆくえ
主要文献の紹介
第1章 イギリス炭鉱ストライキ(一九八四~八五年)の史的検証
1 ストライキのアウトライン
発端
経過と時期区分
2 〈一九八〇年代イギリス〉という背景
社会民主主義体制下の強靱な労働組合運動
世論の動向と「ニューリアリズム」
第2章 第Ⅰ期:ストライキの拡大と強権の始動
1 遊撃ピケという戦略
ストライキと遊撃ピケの連鎖
最初の死者 ピケに対する警察の「実力行使」
全国炭鉱労働組合(NUM)の全国投票回避
2 準備された権力の構造と論理
リドレイ・プラン
マーガレット・サッチャーの思想と決意
労働諸法の改正
警察権力の整備
3 画期としてのオーグリーヴ
製鉄所への遊撃ピケをめぐって
オーグリーヴ・五月の攻防
オーグリーヴ・六月の攻防
第3章 炭坑夫とはどのような人びとなのか
護るべきもの
さまざまの体験がもたらしたもの
下からの自発性
ストライキの倫理コード
第4章 第Ⅱ期の苦闘:八四年夏~秋
1 強権の発動
団体交渉の挫折
民法的弾圧の本格化
2 サッチャーの憂慮のとき
全国ドック・ストライキのゆくえ
全国炭鉱保安・監督者組合(NACODS)争議の帰結
3 他組合のNUM支援、その理念と現実
イギリス労働組合会議(TUC)の対応
労働現場でのNUM支援
広汎な支援拠金と物品供与
4 復職者=スト破りの争奪
復職促進ドライヴ(BWD)に対抗するピケ
容赦なき弾圧とムラ・コミュニティの抵抗
第5章 ストライキを持続させるムラ・コミュニティ
女性たちのフード・キッチン
支援領域の多様性
子どもたちの学校体験
女たちの変化 立ち上がる炭鉱ムラ・フェミニズム
第6章 第Ⅲ期の軌跡:八四年一一月~八五年三月
1 一九八四年冬の苦境
BWDの本格化と引き続くバトル
ピケ・バイオレンスへの惰力
孤立するNUM
クリスマスの灯り
2 一九八五年冬、耐えうる限界の果てに
暗鬱な新年
復職者の激増
貧困の諸相
助け合いのかたち
団体交渉の帰結
「協定なきストライキ収束」論の台頭
なお屈せざる行動
ストライキ終結の決定
仕事に戻るマーチ(Back to Work March)
第7章 その後の憂鬱な経過
1 労使関係論からみた総括
弾圧の傷跡・数値的確認
炭鉱閉鎖と解雇撤回要求のゆくえ
経営主導の労使関係への変容
新しい人事・労務管理の浸透
2 石炭産業の衰退
冷徹な時代の変化
「イエスタデイズ・バトル
第8章 思想的・体制論的な総括
1 サッチャーの勝利が招いた社会
新自由主義・個人主義・議会制民主主義
産業民主主義の意義
産業民主主義の試練(1)――生活を守る方途としての個人主義
産業民主主義の試練(2)――要請される議会制民主主議とのバランス
2 新自由主義のかなたに
新自由主義の支配する社会
一九九〇年代後半以降、対抗する潮流
例外としての現代日本 労働運動の状況
「まともな労働組合」への未曾有の弾圧
むすびにかえて
フラッシュバック
新自由主義に対抗する労働運動のレジェンド
文献一覧
炭鉱ストライキ略年表
主要炭鉱分布(ミッドランド・ノッティンガム、ヨークシャー、南ウェールズ)