目次
序 章 「緑の環境史」は北海道を考える原点
第一章 緑の環境情報・蝦夷から北海道へ
一 蝦夷地の自然
1 松前から伝わる自然情報
2 蝦夷の奥地への関心と調査
3 松浦武四郎の偉大な足跡
二 函館開港時の外国人による自然調査
1 ペリーの黒船による動植物調査
2 函館で植物を調査したマクシモヴィッチ
3 ブラキストンが動物分布境界線を提唱
第二章 北海道開拓の光と影
一 北海道にアメリカを見たお雇い外国人
1 ケプロンは植物から北海道の風土を判断
2 クラーク博士の森林観
3 アメリカの野牛と北海道のシカ
4 オオカミを殺し尽くすため
二 開拓の進展と土地の荒廃
1 明治の国策として北海道を開く
2 荒っぽい開拓の仕方とその反省
3 北海道の農産物──百年の変遷
第三章 森林資源の利用と管理
一 北方林の位置づけを探った先人たち
1 森林植物調査の先駆者、田中壌
2 本多静六の森林植物帯区分
3 吉良竜夫が「暖かさの指数」を提唱
4 舘脇操が「北海道は移行帯」と提唱
二 北海道の林業──百年の軌跡
1 北海道の国有林・道有林などの成立
2 天然資源を掠奪的に利用した開拓期の林業
3 育てる林業への転換、そして拡大造林へ
4 新たな森林施業、そして赤字経営
5 「国民の森林」に脱皮
第四章 都市林の保全と公園づくりの原点
一 身近な森林の公益的機能を自覚
二 都市公園の事始め
1 北海道の公園はゼロからの出発
2 明治初期に住民がつくった函館公園
3 開拓時代の町づくりと公園──名寄公園など
4 札幌都心部の公園は明治の遺産
5 原野の都市──旭川と帯広の公園
6 港湾都市──小樽と釧路の公園
7 惜しくも消滅した公園
8 公園の温故知新に学ぶこと
第五章 優れた自然環境の保全
一 天然記念物などの保護
二 自然公園の保護と利用
1 国立公園と道立公園の成立
(1) 石狩川上流を「国立公園」に
(2) 大沼が第一号の道立公園へ
(3) 国立公園の一六候補地と阿寒・大雪山
(4) 利用重視で選ばれた支笏洞爺
(5) 一八景勝地の選定とその発展
(6) 原始的自然を守る知床国立公園
(7) サロベツと釧路湿原はウェットランド
2 国立公園の保護開発と北海道の国立公園の可能性
(1) 国立公園の保護と開発への期待
(2) 地域制公園と営造物公園
(3) 営造物公園に近づける北海道の国立公園
第六章 「民唱官随」で前進する自然保護
一 北海道自然保護協会四〇年の足跡
二 知床の森林伐採問題から世界自然遺産へ
三 バブルに踊ったリゾート開発と地域活性化の幻
四 三〇年前の価値観で迷走した士幌高原道路
五 工学的価値観だけで突きすすんだ千歳川放水路計画
六 日本一の原始境を分断しようとした日高横断道路
終 章 多様な価値観と自然保護