目次
第一章 山本五十六元帥夫人の弔問
「久利雄戦死」の報/山本禮子夫人の突然の弔問/夫に先立たれた軍人の妻たちの苦難の道
第二章 樋端(といばな)のはじまり
樋端姓の由来/久利雄が生まれた讃岐の町/首席を通した小学校時代/東讃地区の雄、大川中学校に進学
第三章 海軍航空の魁になる!
大川中学校初の海軍兵学校合格者に/久利雄が両親と兄に宛てた決意の書「告辞」/船を乗り継ぎ江田島へ/海軍兵学校の教育/兵学校の日常生活/首席で臨んだ海兵第五一期生卒業式/直ちに遠洋航海に出発/豪州方面一万八〇〇〇海里の遠洋航海/海軍航空の魁ならんとした久利雄/郷里の白鳥神社で華燭の典
第四章 活躍の場を軍政へ
在フランス大使館駐在武官補佐官として活躍/軍令部参謀となり、ジュネーブ軍縮会議全権委員随員に/横須賀航空隊分隊長として実務部隊に復帰/海軍大学校に甲種学生として入校/家族から得たやすらぎ/またも首席で海軍大学校卒業
第五章 軍令から軍政へ
軍令部員となり、母校大川中で講演/盧溝橋事件勃発、上海へ飛ぶ/支那方面艦隊兼第三艦隊参謀としてパネー号事件収拾に尽力/聯合艦隊参謀として司令長官を補佐/斬新な戦法「樋端ターン」―第一五航空隊飛行長/戦略爆撃のさきがけとなった重慶爆撃に参加/久利雄の卓越した戦術眼が評価された大戦果/海軍省軍務局員として軍政の中枢に/少壮軍務局員の情勢認識/真珠湾奇襲、そのとき久利雄は……/対米戦争、久利雄の本心
第六章 ソロモンに散った俊秀
「負け戦の後始末」――二回目の聯合艦隊参謀/慈愛に満ちた家族への手紙/「い」号作戦の中心的役割を担う/山本長官陣頭指揮による「い」号作戦/作戦の評価をめぐる甘い判断/山本長官の前線視察をめぐるかけひき/山本長官と久利雄の運命を決めた電報/米軍が解読していた山本長官の視察計画/山本長官と共に久利雄戦死―海軍甲事件/事件後の海軍の動き/陸軍捜索隊が墜落機体を発見/久利雄の死体検案記録の矛盾/遺骨はラバウルに
第七章 久利雄の残したもの
一か月伏せられた山本長官の死/九月の合同海軍葬まで伏せられた久利雄の死/遺骨がようやく遺族のもとへ/郷里での葬儀/久利雄が眠る多磨霊園と白鳥霊園/それぞれの戦後―千代の場合/それぞれの戦後―一雄の場合