前書きなど
まえがき
あなたは今、毎日を自分らしく生きていますか?
世の中の空気や周囲の価値観に合わせなければと、無理をしていませんか?
現在のポジションを守るために、あるいは世間体を気にして、自分の内側から湧き上がってくる〝心の声〟を無視したり、抑えつけたりしていませんか?
私は、1980年代から脳力開発の実践と普及に取り組み、1991年に株式会社ヒューマックスを設立。以来、企業・団体を中心に、リーダーシップ、人間力開発、チームビルディング等の研修プログラムを実施してきました。
2012年からは、研修のベースを30年来探求してきた「エニアグラム」に絞ることにしました。現在、ビジネスの現場で直面するさまざまな困難や課題に対して、エニアグラムの叡智を活用して人間的成長を図り、それらを解決に導いていく「ビジネス・エニアグラム」を実施しています。
研修の場で多くの方々と接してきて思うのは、最近、自分らしいあり方を求めて道を模索する人たちが増えている、ということです。
今、社会のあらゆる局面で、従来の「モデル」が成り立たなくなっています。会社から示された「成功モデル」「出世モデル」にしたがって仕事をこなしていけば、幸せな未来が待っている─そんな時代は終わりました。誰もが自分なりの創意工夫で世の中を生き抜いていく必要があるのです。
そのとき、本当に生きる力を与えてくれるのは自分自身です。自分の中に独自の価値観や強みがすでに存在し、それを健全な方向に発揮していけば、自分らしいあり方で納得のいく人生を歩むことができる──エニアグラムの叡智は、そんなことを教えてくれます。
実際、エニアグラムを学んでいる仲間たちや私の受講生の中には、エニアグラムを通して、本来の自分を発見し、自分の持ち味をより活かす方向で活躍している方々がたくさんいらっしゃいます。
また、エニアグラムを通して、自己理解が深まると、同時に他者理解が深まります。エニアグラムでは、人間は誰でも9つのタイプのうち、1つを持って生まれてくると考えます。自分のタイプを認め、受け入れることは、他者のタイプを認め、受け入れることとまったく同等のことであるとわかるからです。
自分とは異なる価値観を持った人が世の中にいることを理解し、対人関係や仕事を進めるに際して、自分の考えに固執したり、他人を頭から否定したりすることがなくなっていきます。人間は多様であること、自他がお互いに補い合う関係であると知ることは、コミュニケーションを円滑にし、チームの力を最大限に引き出すことにもなります。
このように、エニアグラムの叡智は、個としての成長のみならず、個と個の信頼関係の構築、多様な個同士の協働によるパフォーマンスの向上につながるのです。……