目次
前口上 伊藤晴夫
序 章 「人間圏」とは何か
第1章 生命倫理と生殖医療
第2章 セックスと人間圏
第3章 前立腺がんの話
第4章 学生運動の季節に
第5章 「人間圏」の未来に
対談を終えて 松井孝典
前書きなど
本書が成立した事情は、対談者である伊藤晴夫先生の「前口上」に詳しいので、それに譲りたい。
伊藤先生と私が知り合ったのは、伊藤先生の千葉大学退官記念パーティであった。伊藤先生から私に、このパーティの席上で「人間圏について話して欲しい」と講演依頼があったのである。お会いしてみると、千葉大学附属病院の院長を務め、日本における屈指の泌尿器科の名医でありながら、いささかも尊大なところがなく、懐の深い人格者であることがわかった。
そして、ときに鋭く、ときにユーモアを交えながらの伊藤先生との対談は、とても楽しい時間であった。先生がもともとは、東大で学生運動をしていた、安保闘争世代であるこを知ったのも、この対談のなかである。
本書は、医学と比較惑星学という専門の異なる者同士の、いわば「異種交配」によって生まれたものである。したがって、話題は多岐にわたっている。この多様な話題のおもしろさが読者につたわれば、と思っているが、それは読者に判断してもらうほかはない。
最後になったが、対談原稿の構成を担当した小川和也氏、それから、本書の出版を快く引き受けてくださった梨の木社の羽田ゆみ子氏に感謝する。
二〇〇五年七月
松井孝典