目次
はしがき
序 章 「土とテクノロジー」の深い転換点
―グローバルな比較農業史視点からの冷戦期「開発主義」批判の試み
[足立芳宏]
第1節 20世紀中葉の「現代農業革命」
―「土とテクノロジー」の深い転換点
第2節 冷戦下における世界の農業・食糧体制
―フード・レジーム論を手がかりとして
第3節 「辺境地」の農業開発・農村建設事業―戦時から戦後へ
第4節 農村社会における農業技術・生活技術の革新と受容
第5節 本書の課題と構成
第I部 食と農の技術開発―冷戦下の東アジアとアメリカ―
第1章 アメリカ農産物の日本市場開拓計画
―小麦とコメからみる1950年代
[伊藤淳史]
第1節 アメリカ余剰農産物供与をめぐる先行研究
第2節 MSAからPL480へ
―アメリカ余剰農産物処理政策の転換
第3節 アメリカ小麦の日本市場開拓活動とその評価
第4節 アメリカ産米の日本市場開拓構想の挫折
第5節 アメリカ食糧援助政策研究への含意―むすびにかえて
第2章 アメリカのTVAによる窒素肥料の開発と普及
―民間企業への無償技術移転と州農業機関の活動を中心に
[名和洋人]
第1節 化学革命とアメリカ農業
第2節 TVAによる化学肥料三要素の開発と普及
第3節 農場への化学肥料の導入
第4節 化学肥料の開発と普及にみるTVAの意義と限界
第3章 戦後沖縄 せめぎあう人びとの生存戦術
―農業研究指導所・普及事業の主導権をめぐる論争に着目して
[森亜紀子]
第1節 ミシガン・ミッションの普及事業構想
第2節 琉球政府・農林水産協会・市町村会・農業研究指導所の抵抗
第3節 琉球大学教授陣の論理と帝国経験
第4節 農業試験場・普及事業の二重化
第4章 韓国における近代農業技術の変容
―「統一稲」の開発・普及過程を中心に
[蘇淳烈(日本語訳 小谷稔)]
第1節 農業技術革新の二つの時期
第2節 植民地朝鮮における農業技術の研究と普及
第3節 朴正煕政権下における統一稲の開発・普及と誘発的効果
第4節 二つの時期の共通性
―国家主導の農業開発をいかに超えるか
第II部 土とテクノロジー―辺境地からモデル農村へ―
第5章 帝国日本の崩壊と戦後開拓
―軍馬補充部跡地を焦点として
[大瀧真俊]
第1節 「土地」の歴史からみる戦後開拓
第2節 緊急開拓事業と軍馬補充部用地
第3節 三本木開拓事業と軍馬補充部三本木支部
第4節 川南開拓事業と軍馬補充部高鍋支部
第5節 満洲農業移民と戦後開拓事業を結んだ「人」
第6節 「土地」の状態と入植の成否
第6章 酪農家になるということ
―上北パイロットファーム入植者の戦後経験
[足立芳宏]
第1節 忘れ去られたもうひとつのパイロットファーム
第2節 戦後開拓から機械開墾へ
―上北パイロットファーム事業の概要
第3節 協同主義と個別経営のあいだ
―東北町のPF入植者の戦後経験
第4節 存続と崩壊のあいだ
―六ヶ所村の上北PF入植者の戦後経験
第5節 「辺境」からモデル農村へ
―上北PFで酪農家になるということ
第7章 「殿様開拓」から酪農専業経営の成立まで
―根釧パイロットファーム初期入植者の経験
[野間万里子]
第1節 日本における草地利用酪農と根釧パイロットファーム
第2節 根釧パイロットファーム前史
―「最後の入植地」根釧原野
第3節 根釧パイロットファーム事業計画の変遷とその問題点
第4節 計画と実態のあいだ―一農家の経営資料から
第5節 入植初期における営農状況
第6節 専業的酪農経営の成立
第7節 草地利用酪農という技術体系の形成と入植者の経験
第8章 北海道総合開発と地域社会
―根釧パイロットファームの再編と自衛隊基地の誘致
[番匠健一]
第1節 北海道における農業開発と「軍事化」
第2節 根釧原野における戦後開拓事業と引揚げ者
第3節 世界銀行による開発援助と根釧パイロットファームの停滞
第4節 新たな国営開拓パイロットファーム計画と自衛隊基地の誘致運動
第5節 自衛隊基地誘致運動の加速と戦後開拓入植地の階層問題
第6節 根釧パイロットファームの再編成と地域社会
第9章 西ドイツの「辺境」農村開発と農民入植事業
―エムスラント開発計画:1950-1962
[足立芳宏]
第1節 エムスラント開発とは
―農民入植史から農業構造政策へ
第2節 エムスラント開発計画の形成と事業内容
第3節 泥炭地開墾・入植事業とエムスラント農村の社会問題
第4節 入植者の割当てをめぐる対立
―難民の帰農志向と土着農村の土地返還要求
第5節 国有地入植事業のミクロ史
―「ニーダーランゲン・オーバーランゲン入植地区」の事例
第6節 エムスラント開発計画の歴史的特徴
第III部 農村のテクノロジー受容―科学知・教育知とジェンダー―
第10章 農村女性への教育と裁縫
―大阪府北部における新制高校定時制分校家庭科に着目して
[徳山倫子]
第1節 第二次大戦後の2つの転換点
―「洋裁ブーム」と戦後教育改革
第2節 大阪府立春日丘高等学校の4分校について
第3節 分校家庭科の設置
第4節 分校家庭科への要望
第5節 授業内容
第6節 卒業後の展望―職業世界への参入と地域社会の変容
第7節 「洋裁ブーム」がもたらしたもの
―生活技術のための裁縫教育の終焉
第11章 農村における生活の改善と家電の導入
―女性らしさの変容に着目して
[岩島 史]
第1節 家庭電化製品の導入からみえる冷戦とジェンダー
第2節 1950-60年代における農村女性の労働
第3節 農家への家電導入を可能にしたテクノロジーシステム
第4節 農村における生活の改善と家庭電化製品の導入
第5節 女性らしさの変容と「家」の継続
第12章 農業機械の受容と女性たちの健康学習
―長野県下伊那郡松川町の事例から
[安岡健一]
第1節 機械化の社会史
第2節 地域社会の変容と下伊那の社会教育
第3節 農業機械の受容とその影響
第4節 女性たちの学習とその広がり
第5節 「生活」の内実を問う意義
終 章 冷戦下の農業・農村開発の歴史的理解に向けて
[足立芳宏]
第1節 本書で明らかになったこと
第2節 モデル農村建設―国営農業開発事業の歴史的評価
第3節 社会主義における農業・農村開発事業
―東ドイツを中心に
第4節 1950/60年代から1970/80年代へ
―農業開発の再定義?
編者あとがき
English Summary
索引
著者紹介