紹介
研究デザインの考え方から基本的な公式、研究例、現場で使える数表まで、医学におけるサンプルサイズ設計の実践的な手引きとして30年以上にわたり好評改版を重ねてきた教科書が待望の邦訳。臨床試験だけでなく,疫学研究,ゲノム研究,診断研究など広範な医学研究分野をカバー。サンプルサイズ計算を実装するためのソフトウェアつき。
【本書を推薦します】
■手良向 聡 氏(京都府立医科大学教授)
我々のような臨床試験に携わる生物統計家(試験統計家)は,臨床試験におけるサンプルサイズ設計を行う際,すべての英知を結集しなければならない.本書にはその英知がぎっしりと詰まっていて,サンプルサイズ計算のためのソフトウェアがなかった頃,私は1987年発行の初版をいつも手元に置き,数値表を眺めていた.本書は,試験統計家およびそれを目指す人に必携の書である.
■柳川 堯 氏(久留米大学バイオ統計センター客員教授,九州大学名誉教授)
症例数を,研究計画段階において適正に設定しておかなければ,臨床研究の結果はエビデンスとして受け入れられない.本書は,その基本および設定法を分かりやすく解説した世界で定評があるテキストの翻訳書である.
■竹村 彰通 氏(滋賀大学データサイエンス学部長,東京大学名誉教授)
特に本書の後半では,医学研究で必要となるさまざまな実際のケースに応じてサンプルサイズ設計の詳しい指針や数表が与えられており,非常に役に立つ本である.
目次
翻訳者前書き
前書き
ソフトウェアSSSについて
第1章 研究デザインの基本
1.1 なぜサンプルサイズ計算が重要なのか
1.2 統計学的有意性とは
1.3 計画における検討事項
1.4 正規分布
1.5 その他の確率分布
1.6 信頼区間
1.7 サンプルサイズの表の使用目的
1.8 数値精度
1.9 ソフトウェア
第2章 研究デザインの詳細
2.1 グループの割付け
2.2 3群以上のとき
2.3 共変量の役割
2.4 エンドポイントが複数あるとき
2.5 有意差検定の反復
2.6 疫学研究
2.7 プロトコールと出版
2.8 倫理的事項とサンプルサイズ
第3章 2値アウトカム
3.1 はじめに
3.2 2群の割合を比較するとき
3.3 1群の割合が既知のとき
3.4 文献のまとめ
3.5 例
第4章 順序カテゴリーアウトカム
4.1 はじめに
4.2 順序カテゴリーデータ
4.3 文献のまとめ
4.4 例
第5章 連続アウトカム
5.1 はじめに
5.2 2群の平均の比較
5.3 1群の平均が既知のとき
5.4 文献のまとめ
5.5 例
第6章 率アウトカム
6.1 はじめに
6.2 2群の率を比較するとき
6.3 製造販売後調査
6.4 文献のまとめ
6.5 例
第7章 生存時間アウトカム
7.1 はじめに
7.2 イベントの種類が1つのとき
7.3 競合リスク
7.4 脱落
7.5 文献のまとめ
7.6 例
第8章 対応のある2値,順序カテゴリー,連続アウトカム
8.1 はじめに
8.2 個人内および個人間の分散
8.3 デザイン
8.4 2値アウトカム
8.5 順序カテゴリーアウトカム
8.6 連続アウトカム
8.7 文献のまとめ
8.8 例
第9章 信頼区間
9.1 はじめに
9.2 単群から得られる割合
9.3 2 群から得られる割合
9.4 単群の平均
9.5 平均間の差
9.6 文献のまとめ
9.7 例
第10章 反復測定アウトカム
10.1 デザイン要件
10.2 デザイン効果とサンプルサイズ
10.3 実用上の問題
10.4 文献のまとめ
10.5 例
第11章 非劣性と同等性
11.1 はじめに
11.2 仮説
11.3 非劣性
11.4 同等性
11.5 生物学的同等性
11.6 実用上の問題
11.7 文献のまとめ
11.8 例
第12章 クラスターデザイン
12.1 はじめに
12.2 デザイン要件
12.3 クラスター試験のサンプルサイズ
12.4 ベースライン値
12.5 クラスター数が固定のとき
12.6 実用上の問題
12.7 文献のまとめ
12.8 例
第13章 ステップウェッジデザイン
13.1 はじめに
13.2 基本構造
13.3 横断的デザイン
13.4 クローズドコホートデザイン
13.5 経時測定デザインとの関連
13.6 文献のまとめ
13.7 例
第14章 3群以上のデザイン
14.1 はじめに
14.2 文献のまとめ
14.3 例
第15章 ゲノム標的と用量探索
15.1 はじめに
15.2 ゲノム標的
15.3 用量探索
15.4 例
第16章 実現可能性研究とパイロット研究
16.1 はじめに
16.2 実現可能性かパイロットか?
16.3 設計基準
16.4 外部パイロット
16.5 外部パイロットおよび主研究間の検討事項
16.6 内部パイロット研究
16.7 文献のまとめ
16.8 例
第17章 治療探索試験:2値アウトカムに関する単群試験
17.1 はじめに
17.2 理論と公式
17.3 文献のまとめ
17.4 例
第18章 治療探索試験:生存,2重エンドポイント,ランダム化およびゲノム標的
18.1 生存時間エンドポイント
18.2 反応と毒性のエンドポイント
18.3 ランダム化治療探索デザイン
18.4 ゲノム標的
18.5 文献のまとめ
18.6 例
第19章 相関係数
19.1 はじめに
19.2 理論と公式
19.3 実用上の問題
19.4 文献のまとめ
19.5 例
第20章 評価者間一致性研究
20.1 はじめに
20.2 2値アウトカム
20.3 連続アウトカム
20.4 文献のまとめ
20.5 例
第21章 基準範囲とROC曲線
21.1 はじめに
21.2 基準範囲
21.3 感度と特異度
21.4 ROC曲線
21.5 文献のまとめ
21.6 例
表1.1 正規分布の累積分布関数
表1.2 αと1−βの値ごとの正規分布のパーセント点
表1.3 自由度df とα の値ごとのt 分布のパーセント点
表3.1 両側α=0.05と検出力1−β=0.8の下で2つの割合を比較するために必要なサンプルサイズN
表3.2 両側α= 0.05と検出力1−β=0.8の下でオッズ比を用いて2つの割合を比較するために必要なサンプルサイズN
表5.1 両側α=0.05の2標本t検定に対するサンプルサイズN
表5.2 両側α=0.05,検出力1−β=0.8,不等分散の下で2標本t検定に必要なサンプルサイズN
表5.3 XとYが正規分布に従い標準化差がΔのときの確率Pr (Y>X)
表5.4 片側または両側α=0.05の1標本t検定に必要なサンプルサイズN
表6.1 確率1−γと発生率λPlanを与えた下でa件以上の有害事象を観察するためのサンプルサイズN
表6.2 バックグラウンド発生率λBackを与えた下で有害事象の増加εPlanを検出するためのサンプルサイズN
表6.3 バックグラウンド発生率が未知でコントロール群の発生率λCを与えた下で有害事象の増加εPlanを検出するために必要な試験治療群の人数nT
表6.4 マッチドケースコントロール研究に必要なケース1人,コントロールm人からなるユニット数U
表7.1 時間を通じて比例ハザード性が維持されるとき,2つの生存分布を比較するために必要なイベント数
表7.2 2グループに均等に割付けたとき必要なイベント総数E
表7.3 2グループに均等に割付けたとき必要な対象者総数N
表8.1 対応のある2値データのペア数NPairs
表8.2 対応のある連続データにおいて両側α= 0.05の下で必要なペア数NPairs
表9.1 割合の想定値に応じて指定された信頼区間幅を得るために必要なサンプルサイズN
表9.2 均等サイズの独立した2群から得られる割合の差について指定した信頼区間幅を得るために必要なサンプルサイズN
表9.3 均等サイズの独立した2群のオッズ比ORによる比較においてORの割合で指定した信頼区間幅を得るために必要なサンプルサイズN
表9.4 マッチングのある2群間の割合の差について指定した信頼区間幅を得るために必要なペア数NPairs
表9.5 指定した信頼区間幅を得るために必要なサンプルサイズ
表10.1 2群の介入後の平均の比較で要約されるような経時測定デザインのデザイン効果R
表11.1 均等サイズの2群の平均の非劣性を検定するためのサンプルサイズN
表11.2 均等サイズの2 群の割合の非劣性を検定するためのサンプルサイズN
表11.3 対応のあるデザインにおいて2つの割合の非劣性の検定に必要なペア数NPairs
表11.4 クロスオーバーデザインを用いた生物学的同等性研究のサンプルサイズN
表12.1 デザイン効果
表12.2 クラスタークロスオーバー試験のデザイン効果
表13.1 クラスター相関ω=1 の完全型横断的ステップウェッジデザインのデザイン効果(DEFullCS)と並行2群比較試験からのサンプルサイズ増加に対応する係数
表13.2 相関(ρ),クラスター自己相関(w),個人の自己相関(π),Sおよびmごとの並行2群比較試験を基準とした完全型クローズドコホートステップウェッジデザインのデザイン効果(DEFullCC)
表16.1 真の標準偏差σのγ%上側信頼限界を得るために用いる標準偏差推定値sへの係数κ
表16.2 経験則(1つの値をとる場合)による外部パイロット研究のサンプルサイズNPilot
表16.3 経験則(段階的な値をとる場合)による均等な2群比較の主研究の標準化効果差Δ と検出力に応じた外部パイロット研究のサンプルサイズNPilot
表16.4 標準化効果差Δに応じた上側信頼限界80%,90%,非心t分布アプローチによる均等な2群比較のパイロット研究,主研究,全体のサンプルサイズの最適値
表17.1 Fleming-A'Hernの1段階デザイン
表17.2 Simonの最適デザインとミニマックスデザイン
表17.3 Bayes流単一閾値デザイン
表17.4 Bayes流2重閾値デザイン
表18.1 片側α=0.05を用いたCase-Morgan期待登録期間(EDA)デザイン
表18.2 片側α=0.05を用いたCase-Morgan期待総試験期間(ETSL)デザイン
表18.3 Bryant-Day 反応毒性デザイン
表18.4 最善の治療を正しく選ぶ確率PCS=0.9のSimon-Wittes-Ellenbergデザイン
表19.1 Pearson またはSpearman相関係数について統計学的な有意性を検出するためのサンプルサイズN
表19.2 指定されたPearson相関係数の両側信頼区間幅に対応するサンプルサイズN
表19.3 指定されたSpearman相関係数の両側信頼区間幅に対応するサンプ
ルサイズN
表20.1 2人の評価者間で想定される不一致の割合πDisAgについて指定した信頼区間幅WDisAgを得るためのサンプルサイズmRepeat
表20.2 偶然に判断を誤る確率ξについて信頼区間幅wξを得るために2人の評価者に2 回評価しなければならない試料数mSpecimens
表20.3 不一致の確率ΘDisAgについて信頼区間幅wΘを得るために2人の評価者に2回評価しなければならない試料の総数N
表20.4 Cohenのκ係数による評価者間一致性について信頼区間幅Wκを得るために必要な試料数mκ
表20.5 級内相関係数の推定において事前に決めた信頼区間幅Wρを得るための必要サンプルサイズ
表20.6 片側α=0.05の下で級内相関係数の検定に必要な評価者数kごとの必要サンプルサイズ
表21.1 正規分布に従う連続アウトカムにおいて,基準範囲の限界を決めるカットポイントの事前に決めた信頼区間幅を得るための必要サンプルサイズN
表21.2 正規分布以外の連続アウトカムにおいて,基準範囲の限界を決めるカットポイントの事前に決めた信頼区間幅を得るための必要サンプルサイズN
表21.3 1群の診断研究の感度・特異度に応じたサンプルサイズN
表21.4 対応のない2群の診断研究の感度・特異度に応じたサンプルサイズN
表21.5 対応のある2群の診断研究の感度・特異度に応じたサンプルサイズN
表21.6 ROC曲線のAUCについて指定した両側信頼区間幅を得るための必要サンプルサイズN
索引(事項・研究デザイン・用いられる状況)