紹介
国際関係において地球環境問題をはじめとする地球的問題群(グローバル・イシュー)が大きなテーマとなり、こうした地球問題群への対応が国際関係論をはじめとする社会科学の大きな課題となっている。本書は、こうした問題意識の下で、人類が地球の地質や自然生態系に大きな影響を与えているというアントロポセン(人新世)時代における国際関係あるいは国際関係論を視野に入れつつ、地球環境と平和、戦争の世紀、南極ガバナンス、巨大ダム建設をめぐるハイドロポリティクス、アメリカの国境管理政策、核なき世界秩序構想、ロシアの安全保障政策などさまざまなイシューを取り上げることによって、国際関係の将来的な方向性を模索する野心的な試みである。
目次
第1章 アントロポセンの地球環境と平和
第2章 「戦争の世紀」としての20世紀 ―2つの世界大戦を中心として―
第3章 国際公共圏としての南極ガバナンスとその課題
第4章 オーストリアの「核」外交と核なき世界秩序構想の将来
第5章 「国境産業複合体」の構造と実態 ―米国の利益誘導型国境政治―
第6章 戦略的ヘッジングの理論と実践―トルコの外交を事例として―
第7章 巨大ダムをめぐるハイドロポリティクス ―グランド・エチオピア・ルネサンスダム(GERD)を中心に―
第8章 ソ連・ロシアにおける安全保障の政策と実現
第9章 中国気候変動外交の展開
第10章 ル・シャプリエ法とルソー・ヘーゲルの中間団体論 ―フランス革命を挟んだ仏独の理論と実際の一断面―