目次
『政党政治を考える ― 「議会の制度化」と質疑応答』
白井 誠(元衆議院事務局議事部長) 著
【目 次】
◇はじめに
質疑応答をめぐる事象と国会改革/憲法63条が持つ歴史性と無意識/「議会の制度化」分析によって明らかにしたこと/本書のねらい
◆序 章
第1節 質疑応答をめぐる無意識
第2節 「質疑応答の構造」とは何か
(1) 先例による読会制度変革のターゲットとツール
ⅰ 明治議院規則:「討論」の節と「委員」の審査―ターゲット
ⅱ 大体の質疑応答―ツール
(2) 隠れた鍵が作り出した「質疑応答の構造」
ⅰ 見えるものと見えざるものによる三位一体の構造
ⅱ 三位一体の構造が結ぶ現像
(3) 政党政治の法構造―隠れた鍵がつなぐ,実定制度と不可視な「質疑応答の構造」の共棲
◆第1章 先例による帝国議会の制度化(前史)
第1節 帝国憲法体制と超然主義
(1) 超然主義と会派の結成
(2) 超然主義の審議システムと民党の対抗的な入り込み
(3) 読会制度―「 本会議中心主義」のブラック・ボックス
第2節 明治議院規則の議決
(1) 衆議院―民党が第一読会に打ち込んだクサビ(「大体の質疑応答」の規定)
ⅰ 「大体の質疑応答」―読会制度の周縁的規定
ⅱ 規定の成り立ちの特異性
(2) 貴族院の場合
ⅰ 先例を根拠とした「大体の質疑応答」
ⅱ 先例による衆議院との同質化の流れ
第3節 明治議院規則を読む
(1) 衆議院先例彙纂・委員会先例彙纂の改訂から:1
ⅰ 明治35年版・衆議院先例彙纂草案と委員会先例彙纂草案
ⅱ 明治35年版・衆議院先例彙纂草案に至るまでの過程
(2) 広義の討論として規定された本会議の審議
ⅰ 質疑応答に関する曖昧な規定―「自他を問わない質疑応答の連鎖」の許容
ⅱ 広義の討論として規定されたことの意味
(3) 議席,演壇,大臣席の機能とその変化
(4) 委員の「討議」―「自他を問わない質疑応答の連鎖」の自由
(5) 明治議院規則の本質とその行方
ⅰ 自立的・自足的な「討議」のプロセス―委員の「討議」と本会議審議の有機的連関
ⅱ 委員会の傍聴禁止と「討議」の関係
ⅲ 全院委員会の傍聴許可とその背景
ⅳ 規定の不存在の転回的な読み替え
◆第2章 先例による帝国議会の制度化(一)
第1節 官民調和体制の審議システムの創造―先例による変革のフェーズ1
(1) 二つの化学反応とその融合
ⅰ 明治議院規則の審議システムと現実の化学反応
ⅱ 「大体の質疑応答」の規定と現実の化学反応
ⅲ 政党会派と政府の関係性の構築と「大体の質疑応答」
(2) 「大体の質疑応答」による委員会と本会議の同質化―「討議」のプロセスの解体
ⅰ「 委員」の審査から「委員会」の審査へのパラダイム・シフト
ⅱ 同質化した委員会と本会議の連動)
ⅲ 「大体の質疑応答」の全部化の帰結―逐条審議の消失
(3) 「官民調和体制」の審議システム―委員会と本会議の同質化による過半数意思の貫徹
第2節 政党会派による運営の制度化(1)―先例による変革のフェーズ1の過程で
(1) 政党会派を基礎的構成単位とする運営―過半数意思の貫徹
ⅰ 特別委員の比例配分
ⅱ 両院協議会協議委員の選出
ⅲ 常任委員の比例配分
(2) 各派協議会の始まりと協議の恒常化
(3) 衆議院先例彙纂・委員会先例彙纂の改訂から:2
ⅰ 逐条審議放棄の規範化(本会議)―通則の消去と違例による置き換え
ⅱ 逐条審議放棄の規範化(委員会)―「本会議に関する法規に準拠」という転回的な規範化基準
◆第3章 先例による帝国議会の制度化(二)
第1節 質疑応答の構造―変革のフェーズ2
(1) 国務大臣の演説に対する質疑の制度化
(2) 政党会派による運営の制度化(2)
ⅰ 政党会派による通告の始まり―27回議会の画期
ⅱ 政党会派による「大体の質疑応答」の管理・統制と,政党会派による自律的運営の法的連関
(3) 政党会派(と政府)による「大体の質疑応答」の分断・囲込み
ⅰ 本 会 議
ⅱ 委 員 会
(4) 先例による変革のフェーズ1・2 をとおして
ⅰ 政党会派による審議システムの確立―国会の審議システムの原型
ⅱ 「討議」のプロセスの解体過程と外部への同期的派生
第2節 政党政治の法構造―「 官民調和体制」の永続システムの完成
(1) 衆議院先例彙纂・委員会先例彙纂の改訂から:3
ⅰ 政党会派による審議システムの規範集として
ⅱ 構造連続の証として
(2) 大正衆議院規則の議決
ⅰ 先例の体系と議院法・議院規則の倒立関係―その意味と意図と意義
ⅱ 大正衆貴両議院規則は何をどのように規定したか
(3) 小 括
第3節 「政党政治の法構造」作動の時代(1)
(1) 政党内閣制の時代
(2) 政党内閣制瓦解の後
(3) 被占領時代―国会法案起草の段階
◆第4章 帝国議会から国会への隙間のない転換と継承
第1節 憲法補則・国会法附則・暫定衆議院規則
(1) 帝国議会と国会の結節点
(2) 憲法体制転換の在り方をめぐって―「議院法伝統」の形成
(3) 仮想現実による隙間のない転換
第2節 帝国議会の規範の転換と継承
(1) 普遍的な議院規則の継承
(2) 普遍的な先例等の継承
(3) 普遍的な議院の運営準則の枠組みの継承―実定制度規範と先例による規範の枠組み
(4) 「質疑応答の構造」の継承と「政党政治の法構造」の再起動
第3節 議院内閣制の運用をめぐる無意識
(1) 旧憲法54条から憲法63条へ
(2) 憲法41条との関係
◆第5章 国会制度と「質疑応答の構造」―「政党政治の法構造」作動の時代(2)
第1節 被占領時代
第2節 独立回復後
第3節 55年体制
(1) 総 論
(2) 国対政治―議長の権限と政党会派による運営の法的連関の変容
ⅰ 各派交渉会から議院運営委員会,そして同理事会へ
ⅱ 国会運営上の駆け引きのベースとして
ⅲ 55年体制の後―筆頭理事間の協議
第4節 政治改革と統治構造改革
◆終 章 改めて討議を考える
第1節 協働の基盤の欠落
(1) 委員会制度運用の現実
(2) 国政調査の「一般化」の中で
第2節 「政党政治の法構造」のアンビヴァレンス
(1) 平成期憲法改革と「質疑応答の構造」の不均衡
(2) フォーマル/インフォーマルな憲法秩序相互の関係性
第3節 取り残された憲法改革
(1) 委任と責任の連鎖
(2) 代表議会の作用と実相―討議の排除が組み込まれた,議院内閣制と権力分立の関係
(3) 協働の基盤を求めて―委任と責任の連鎖の明確化のために
(4) ポスト平成の時代に
- - -
・付録1 旧衆議院規則・貴族院規則の対比(関連部分)
・付録2 旧衆貴各議院規則・衆議院規則・参議院規則の対比(関連部分)
・付録3 質疑応答に関する主な先例項目(現行)
参考文献
事項索引