目次
『原子力法の構造と専門知制御』(学術選書)
友岡史仁(日本大学大学院法学研究科教授) 著
【目 次】
はしがき
◆序章 原子力法制を論ずる現代的意義
Ⅰ 原子力政策の在り方―本書の視座
1 科学技術の制御と二面・三面関係
2 「多重防護」概念と福島原発事故―組織・手続的制御と実体的制御
Ⅱ 原子力に関する「専門知」の在り方
1 特 徴
2 現状と具体的課題
Ⅲ 法的評価の課題と限界
1 パブリック・アクセプタンスの意義
2 実践的課題
●第1部 原子力政策の法的課題●
◆第1章 原子力政策と行政組織
Ⅰ はじめに
Ⅱ 原子力規制組織の変遷
1 問題の所在
2 福島原発事故前と「ダブルチェック体制」の評価
Ⅲ 規制組織の中立性担保として
1 原子力規制委員会について
2 原子力規制庁(事務局)について
Ⅳ 原子力法制変革後に見えてきた課題
1 原子力規制委員会=規制権限者として
2 審査会活用という問題
3 残された課題―原子力委員会の存続意義
Ⅴ おわりに
◆第2章 原子力政策と行政手続
Ⅰ はじめに
1 原子力政策の意義
2 行政法学から見た原子力政策の課題
Ⅱ 原子力行政をめぐる課題
1 問題の所在
2 原子力規制委員会に求められる専門知の在り方
3 行政手続過程における新知見の組入れ方―「バックフィット」制度の課題
Ⅲ 原発訴訟をめぐる課題
1 福島原発事故と司法判断批判
2 行政法理論からのアプローチ(概要)
3 適正手続の保障と安全審査手続―伊方原発最高裁判決を契機にして
4 多重防護と原発訴訟の関係
Ⅳ おわりに
●第2部 原子力法における専門知制御●
◆第3章 原発「再稼働」に係る専門的知見の反映
Ⅰ はじめに
Ⅱ 安全審査に係る規制構造―原子力規制委員会設置法と炉規制法
1 原子力規制委員会設置法について
2 炉規制法について
3 検 証
Ⅲ 新規制基準の内容と課題
1 新規制基準の構造
2 既存の新規制基準における課題
3 残された別課題―災害対策と炉規制法
Ⅳ 新規制基準以降の原子力訴訟―「再稼働」問題への示唆
1 訴訟の経緯(概要)
2 新規制基準との関係性
Ⅴ おわりに
◆第4章 原子力安全審査手続―イギリスの事例
第1節 立地規制の構造―審問手続を中心に
Ⅰ はじめに
Ⅱ 審問と原発の立地手続
1 審問の在り方(一般)
2 原発に関する審問手続
3 審問手続の内容
Ⅲ イギリスの原子力政策と審問手続の在り方
1 原子力政策の転換
2 Sizewell B審問
3 新たな審問方法
Ⅳ おわりに
第2節 大規模基盤施設と土地利用規制―2008年計画法の審問手続
Ⅰ はじめに
Ⅱ 審問の仕組みとその手続
1 「計画許可」と審問(1990年都市農村計画法)
2 大規模基盤施設に関する国務大臣の強制介入における審問(2004年計画強制買収法)
Ⅲ 個別法における大規模基盤施設に関する審問手続
1 「法令上の審問」と「裁量的審問」
2 審問手続に関する具体的課題
Ⅳ 2008年計画法とその課題
1 持続的な経済発展と土地利用手続―2007年白書
2 2008年計画法と“手続の合理化”
Ⅴ おわりに
第3節 原子力法制と安全規制の構造
Ⅰ はじめに
Ⅱ 原子力政策の動向
1 商業用原子炉の位置付け
2 核燃料サイクルの視点から
Ⅲ 原子炉施設に係る法規制の構造
1 沿 革
2 1965年原子力施設法の主な内容
Ⅳ 行政組織の構造
1 規制と推進の分離の観点から
2 規制の一元化と新組織
3 諮問機関
Ⅴ 安全規制の全体的構造
1 基本的な安全審査基準
2 最新知見の反映に係る規制構造
3 包括的設計評価(GDA)
4 計画許可・審問手続と安全規制
Ⅵ おわりに
第4節 革新的小型原子炉の開発と規制―イギリス包括的設計評価(GDA)手続の現況と課題
Ⅰ はじめに
Ⅱ 革新的小型原子炉の開発
1 炉型の概念
2 経済性について
3 安全性の課題と法制度
4 脱炭素化政策との関係
Ⅲ イギリスの開発現状と進展
1 政策背景
2 技術開発に関する政府の取組み
Ⅳ 革新的小型原子炉における安全審査の課題―イギリスの事例を念頭に
1 制度根拠と包括的設計評価(GDA)の実務的意義
2 GDAの概要
3 残された課題
Ⅴ おわりに
第5章 原子力災害対策法制の課題
Ⅰ はじめに
Ⅱ JCO事故と原災法制定
1 JCO事故(概要)と災対法
2 事故当時の課題と原災法制定
Ⅲ 福島原発事故後の原子力災害対策の法的課題
1 初動体制と行政組織
2 「原子力災害対策指針」の法的課題
3 「多重防護」論と原子力防災対策
Ⅳ おわりに
●第3部 核燃料サイクル法制の構造●
◆第6章 核燃料サイクルと原子力法体系
Ⅰ はじめに
Ⅱ 核燃料サイクルの位置付け
1 政府計画の表明形式
2 計画の中身
Ⅲ 核燃料サイクルと炉規制法の規制構造
1 法令上の定義
2 炉規制法の規制構造
Ⅳ 使用済核燃料の再処理制度をめぐる課題
1 問題の所在
2 再処理とフロントエンドの関係―MOX燃料・プルサーマル・高速増殖炉(FBR)
3 再処理資金の確保制度と課題
Ⅴ おわりに
●第4部 放射性廃棄物の法規制●
◆第7章 放射性廃棄物処分の制度化
Ⅰ はじめに
Ⅱ 処分の対象と方法の決定経緯
1 第8回原子力長計以前
2 第8回原子力長計以後
Ⅲ 炉規制法上の規制と課題
1 処分対象の決定と課題
2 具体的な処分方法・計画と課題
3 2007年炉規制法改正以降(概要)
Ⅳ 地層処分に関する課題
1 地層処分の法的位置付け
2 立地選定の問題
3 安全規制の在り方
Ⅴ TRU廃棄物処分の制度化経緯
1 TRU廃棄物の具体的内容
2 政府の対応と特廃法改正前
3 最終処分に関する諸問題
Ⅵ おわりに
◆第8章 地層処分事業の制度構造をめぐる課題
Ⅰ はじめに
Ⅱ 特廃法の制度構造
1 全体構造(概要)
2 NUMOの諸業務
Ⅲ 地層処分に係る近時の動向と課題
1 見直しの経緯
2 課題抽出
Ⅳ おわりに
◆第9章 地層処分事業における候補地選定手続―イギリスの事例
第1節 候補地選定のための法構造―2008年白書まで
Ⅰ はじめに
Ⅱ イギリスにおける放射性廃棄物処分の変遷
1 中間レベル放射性廃棄物処分に関する具体的経緯
2 高レベル放射性廃棄物に関する具体的経緯
Ⅲ 処分法制と管理主体の変遷
1 1993年放射性物質法の概要
2 管理主体の変遷
Ⅳ イギリス型候補地選定方式の具体的内容
1 2008年白書
2 具体的取組み―NDA・RWMD報告書より
3 「共同体立地パートナーシップ」の具体的進展と意義
Ⅴ おわりに―今後の課題
第2節 「パートナーシップ型」合意形成モデルの実践と課題
Ⅰ はじめに
Ⅱ 「パートナーシップ型」合意形成モデルの変遷―2008年白書から2018年改訂文書へ
1 2008年白書から2014年白書まで
2 2014年白書と2018年改訂文書の関係
Ⅲ 候補地選定手続の現況と課題―2018年改訂文書の詳細スキーム
1 詳細スキームの概要
2 スキームの評価
Ⅳ 土地利用法制との関係―2008年計画法を中心に
1 大規模施設立地手続の仕組み(概要)
2 地層処分事業との関係
3 合意形成手続と2008年計画法
Ⅴ おわりに
・事項索引
・判例索引