目次
『経済行政法の実践的研究』
友岡史仁(日本大学法学部教授) 著
【目 次】
・はしがき
◆第1部 総論的研究◆
◆第1章 経済行政法の課題
Ⅰ 総論的観点からの課題
1 体系的思考における課題
2 具体的論点の所在─行政介入と競争の法的関係
Ⅱ 需給調整に係る行政介入の課題
1 需給調整と規制緩和・規制改革の関係
2 諸種の形式
Ⅲ まとめに代えて
◆第2章 経済規制と行政介入
Ⅰ 争点の所在─行政法の視点
Ⅱ 経済規制の意義
1 公的規制の一つとしての「経済規制」
2 必要性の措定
3 公益事業(ネットワーク産業)法制
Ⅲ 行政介入の形式と争点
Ⅳ 現代的意義
◆第3章 公的規制の行政組織─イギリスにおける事業規制機関(utility regulators)
はじめに
Ⅰ 事業規制機関の組織的変遷
1 具体的変遷─「独任制」から「合議制」へ
2 組織的特徴
Ⅱ 事業規制の変容と消費者利益保護機関の存在
1 事業規制の変容
2 消費者利益保護機関の存在
Ⅲ 事業規制機関の存在意義
1 二つの競争モデル
2 「競合的権限」の付与
おわりに
◆第2部 事業規制法制の研究─各論的研究◆
◆第4章 産業特性と行政裁量の関係─タクシー事業を素材にし
はじめに
Ⅰ 参入・運賃規制の構造─平成25年改正法に照らして
1 参入規制と需給調整
2 運賃規制の態様
Ⅱ 通達・基準公示に関する手続法上の課題
1 法的性質論
2 理由提示の程度との関係性
3 行政指導との関係性
4 関連論点─訴訟上の課題
Ⅲ 実体法上の課題─予測力の実体的統制を中心に
1 行政裁量の導き方と問題整理
2 「輸送の安全性」との関係性
3 輸送効率性指数との関係性─「実働率」か「実車率」か
おわりに
◆第5章 民営化に関する経済行政法上の課題─水道事業を素材にして
Ⅰ はじめに
Ⅱ 水道事業の事業規制法制
1 事業開始(参入)規制
2 料 金 規 制
Ⅲ 経営規律の一般諸原則と法的問題─経済性と公共性の具体的関係性
1 地方公営企業法の経営規律と一般会計からの繰出支出の法的問題
2 地方財政法との関係
Ⅳ 広域化・官民連携法制と水道事業基盤強化
1 「広域化」の方向性と都道府県の関与
2 水道事業における官民連携と平成30年改正法による「コンセッション方式」の法的課題
Ⅴ おわりに
◆第6章 事業法と独禁法の関係性─電気通信産業を素材にして
はじめに
Ⅰ 事業(規制)法・行政法上の諸規制の射程
1 事業(規制)法の種類
2 行政上の諸規制の枠内での“競争余地”
Ⅱ 独禁法との理論的な関係整理(再論)
1 個別法規との関係性
2 解釈論による整理法
Ⅲ 電気通信事業法への当てはめ
1 エンフォースメントの重複
2 接続約款規制から見た“競争余地”と独禁法
3 事前協議手続と独禁法
おわりに
◆第3部 産業保護・育成法制の研究◆
◆第7章 分野横断的な規制緩和政策の新たな実践
Ⅰ 問題の所在─「自主創意型」の視点から
1 従来型規制緩和政策─「行政発案型」の特質
2 本稿の軸足─「自主創意型」へ
Ⅱ 「規制のサンドボックス」制度の意義
1 制度概念と対象
2 制度意義─FCAのケース(概観)
Ⅲ 特措法の概要と課題
1 制定経緯と検討範囲
2 特措法の全体構造
3 「新技術等実証」制度の概要と課題
4 残された課題
Ⅳ 結 語
◆第4部 産業特性分野における競争政策の研究─エネルギー産業を中心に◆
◆第8章 エネルギー産業の総論的視点
Ⅰ 日本におけるエネルギー政策の法的基礎
1 財 の 特 質
2 エネルギー政策の法的骨格
3 産 業 特 性
4 エネルギー産業における原子力政策の課題
Ⅱ 化石燃料の安定的調達に関する法政策
1 資源調達条件の法的枠組み
2 国際取引における戦略的対応
3 石油備蓄制度の拡充
Ⅲ 環境への適合に関する法政策
1 エネルギー消費の削減(省エネ)を基軸とした法政策
2 分散型電源の積極導入に関する法政策
Ⅳ アンバンドリング規制の法政策上の課題
1 電力システム改革とガスシステム改革
2 規制撤廃のインパクト
Ⅴ 結びに代えて─エネルギー産業の総括的視点
1 法政策の前提事実
2 法・政策・実務上の課題
◆第9章 電力システム改革─日本とイギリス
◇第1節 日本の電力改革─規制組織の課題を中心に
Ⅰ はじめに
Ⅱ 「2013年電力改革」の位置付けと概観
1 「2013年電力改革」の位置付け
2 基本方針と委員会報告書
Ⅲ 推進機関の権限と評価(第1弾改正法)
1 問題の所在
2 ガバナンス(統治)の問題
3 推進機関の諸権限について
4 経営判断への関与という視点
Ⅳ 第2弾・第3弾改正法と競争政策
1 小売全面自由化の問題
2 新規制組織の設立
3 託送制度と法的分離
Ⅴ おわりに
◇第2節 イギリスの電力改革─企業結合規制を中心に
Ⅰ はじめに
Ⅱ 競争法および電力事業固有の集中規制
1 競争法上の集中規制
2 電力産業固有の集中規制
Ⅲ 二大発電事業者による買収事例と再垂直統合化
1 位 置 付 け
2 二大発電事業者による買収事例
3 現 状
Ⅳ 寡占化に係る課題
1 寡占化の実態
2 発電市場の寡占化と卸電力市場への影響─EDF/British Energy事例
Ⅴ おわりに
◆第10章 ガス産業における競争的構造─アメリカの連邦規制を素材に
◇第1節 競争的構造の誕生史─連邦エネルギー規制委員会(FERC)命令436の制定に至るまで
はじめに
Ⅰ 井戸元価格規制下における直接販売
1 井戸元価格規制とその失敗
2 1938年天然ガス法による直接販売の認証制限
Ⅱ 直接販売のための認証緩和と1978年天然ガス政策法の成立
1 直接販売のための認証緩和
2 1978年天然ガス政策法成立の具体的効果
Ⅲ 競争的構造の原型─代替燃料との価格競争の成立
1 長期固定契約とその影響
2 代替燃料との価格競争の成立
3 価格競争の成果と問題
Ⅳ 顧客限定型価格競争の法的評価─オープンアクセス政策導入の契機
1 メリーランド州民委員会対連邦エネルギー規制委員会事件
2 顧客限定型からオープンアクセス政策への展開
おわりに
◇第2節 料金規制事例と連邦規─連邦エネルギー規制委員会(FERC)命令 636制定を契機
はじめに
Ⅰ パイプライン事業者による料金設定基準
1 固定費用の配賦率に関する問題
2 命令636における料金設定基準
Ⅱ ユナイテッド配給会社対 FERC事件
1 SFV方式の適法性問題
2 移行費用の適法性問題
Ⅲ 料金設定基準の変更をめぐる関連事例
1 私人間契約の規制範囲─Mobile-Sierraドクトリンの適用
2 SFV方式への変更の適法性
おわりに
◆第5部 判 例 研 究◆
◆第11章 事業規制法制─料金規制を中心に
◇第1節 個人タクシー運賃訴訟(ワンコインタクシー事件)─大阪地裁平成21年9月25日判決
Ⅰ 事実の概要
Ⅱ 判 旨
Ⅲ 検 討
1 本件の意義
2 専門技術的分野における行政裁量と本件の判断枠組み
3 審査基準公示の合理性審査
◇第2節 タクシー公定幅運賃訴訟(ワンコインドーム事件控訴審)─大阪高裁平成28年6月30日判決
Ⅰ 事実の概要
Ⅱ 判 旨
Ⅲ 検 討
1 本判決の位置付け
2 争点1について
3 争点4について
◇第3節 タクシー運賃据置認可訴訟(名古屋MKタクシー仮の義務付け)─名古屋地裁平成22年11月8日決定
Ⅰ 事実の概要
Ⅱ 決 定 要 旨
Ⅲ 検 討
1 本決定の特徴と意義付け
2 法9条の3第2項1号の適合性
◇第4節 鉄道運賃認可訴訟(北総線運賃訴訟第1審)─東京地裁平成25年3月26日判決
Ⅰ 事実の概要
Ⅱ 判 旨
Ⅲ 検 討
1 原告適格について
2 A運賃変更認可処分の無効判断
3 旅客運賃上限等に対する変更処分に係る義務付けの適否
4 残された論点
◆第12章 業務規制法制(タクシー乗務距離最高限度規制)─名古屋高裁平成26年5月30日判決
Ⅰ 事実の概要
Ⅱ 判 旨
Ⅲ 検 討
1 本判決の意義
2 本件公示の処分性について(争点(1))
3 訴訟手続上の問題(争点(2)および(3))
4 実体判断の部分について(争点(4)および(5))
◆第13章 独禁法規制(差止請求訴訟と電気通信事業法)─東京地裁平成26年6月19日判決
Ⅰ 事実の概要
Ⅱ 判決の要旨
Ⅲ 検 討
1 本判決の意義
2 差止請求について
3 電気通信事業法上の規定と独禁法の適用可能性
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