目次
『条例制定の公法論(学術選書204)』
村中洋介(静岡文化芸術大学文化政策学部専任講師) 著
【目 次】
はしがき
第1章 アメリカにおける地方自治
第1節 アメリカの地方自治制度
第1項 アメリカの地方自治の歴史
1 アメリカ地方自治の誕生
2 アメリカにおける地方自治権
3 アメリカにおけるホーム・ルール
第2項 アメリカの現行地方自治制度
1 アメリカの地方自治制度―行政
2 アメリカの州
3 アメリカの地方自治制度―議会
第2節 アメリカにおける地方自治関連判決
第1項 トレントン対ニュージャージー判決
第2項 アトキンス対カンザス判決
第3項 マクドナルド対シカゴ判決
第4項 ワトソン対シアトル判決
第3節 アメリカにおける条例―腰パン条例を事例として―
第1項 アメリカにおける腰パン条例
第2項 アメリカにおける表現の自由
1 象徴的表現
2 United States v. O'Brien
3 Spence v. Washington
第3項 アメリカにおける腰パン禁止条例
第4項 腰パン禁止条例は表現の自由の侵害にあたるか
第5項 小 括
第4節 アメリカの地方自治―まとめ
第1項 ジェニングス判決 Jennings v. Board of Supervisors of Northumberland County,281 Va.511(2011)
1 事件の概要
2 最高裁の判断
3 検 討
第2項 アリゾナ州判決 Arizona v. United States,567 U.S.387(2012)と連邦の専占
第3項 アメリカの地方自治における地方自治体と州の関係
第2章 わが国における地方自治制度と憲法
第1節 わが国における地方自治の沿革
第1項 戦前の地方自治制度
1 戦前地方自治制度の確立
2 戦前地方議会制度の確立
第2項 戦後の地方自治制度
1 戦後地方自治制度の発展
2 戦後地方議会制度の発展
第2節 現行地方自治制度と憲法
第1項 憲法が規定する地方自治制度の内容
1 地方自治条項が規定された背景
2 92条の内容
3 93条の内容
4 94条の内容
5 95条の内容
第2項 憲法による地方自治の保障
1 地方自治権の性質
2 地方自治の本旨の位置づけ
3 補完性の原理
4 住民自治と団体自治
5 地方公共団体の位置づけ
第3章 災害と条例制定
第1節 西宮市震災に強いまちづくり条例
第1項 災害に対する土地利用規制
1 災害と地方公共団体の条例制定
2 西宮市条例の概要
3 国内における活断層を考慮した土地利用
第2項 カリフォルニア州(アメリカ合衆国)における活断層上の土地利用規制
第3項 活断層上の土地利用規制のあり方
第4項 西宮市条例の適法性
1 旧西宮市条例の抵触
2 西宮市条例の抵触
第5項 小 括
1 西宮市の条例の趣旨と法令
2 災害についての条例の活用
第2節 滋賀県流域治水の推進に関する条例
第1項 河川による災害防止の現状
第2項 滋賀県条例の内容
1 条例による流域治水に対する基本的姿勢
2 具体的な施策の内容
3 条例に基づく建築制限
4 その他の規定(浸水時の避難等)
5 罰 則
6 地先の安全度マップ
第3項 滋賀県条例の検討
1 条例に基づく建築規制(特に財産権との関係)
2 住民の避難のあり方
3 地先の安全度マップと地価等の関係
第4項 滋賀県条例と災害に関する法制度や判例等との比較
1 災害と国家賠償訴訟
2 佐用町豪雨災害
3 東日本大震災に関する訴訟
第5項 小 括
第3節 避難行動要支援者名簿に関する条例
第1項 問題の所在
第2項 災対法の改正と避難行動要支援者名簿に関する規定
1 災対法の改正
2 避難行動要支援者名簿に関する規定の新設
第3項 千葉市条例による規定とその運用
第4項 個人情報保護と避難行動要支援者名簿の関係
1 避難行動要支援者名簿における個人情報保護のあり方
2 避難行動要支援者名簿における個人情報保護の課題
第5項 千葉市条例と個人情報保護
1 名簿情報の収集方法
2 名簿情報の外部への提供
3 外部へ提供された情報の管理・漏洩リスク
第6項 小 括
第4章 受動喫煙防止と条例
第1節 受動喫煙防止条例と憲法
第1項 問題の所在
第2項 受動喫煙に関する法律および条約
1 わが国の法律
2 国際条約
3 健康増進法と施行後の動向
4 海外における受動喫煙防止対策
第3項 受動喫煙に関する判例
1 在監者喫煙権訴訟―最大判昭和45年9月16日民集24巻10号1410頁
2 旧国鉄禁煙車両設置等請求訴訟―東京地判昭和62年3月27日判時1226号33頁
3 江戸川区(受動喫煙)訴訟―東京地判平成16年7月12日判時1884号81頁
4 東京マンション喫煙訴訟―東京地判平成24年3月28日LEX/DB文献番号25493352
第4項 喫煙の自由と嫌煙権
1 喫煙の憲法上の位置づけ
2 たばこによる健康への影響と人権
第5項 神奈川県および兵庫県の受動喫煙防止条例
1 神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例
2 兵庫県条例
3 【素案】兵庫県受動喫煙防止条例
4 神奈川県条例および兵庫県条例,兵庫県条例素案の比較
第6項 小括(地方公共団体による受動喫煙防止条例制定の限界)
1 憲法と受動喫煙防止条例
2 規制のあり方
第2節 路上喫煙防止条例による規制―横浜市路上喫煙訴訟―
第1項 問題の所在
第2項 横浜市路上喫煙訴訟の概要
1 横浜市条例の概要
2 横浜市路上喫煙訴訟の概要
第3項 裁判所の判断
1 横浜地判平成26年1月22日判時2223号20頁
a 争点①過料処分と故意・過失
b 争点②過失の有無
c 争点③神奈川県知事の裁決
2 東京高判平成26年6月26日判時2233号103頁
a 争点①過料処分の故意・過失
b 争点②過失の有無
第4項 路上喫煙防止条例における規制のあり方
1 地方公共団体の制定する路上喫煙防止条例の目的
2 路上喫煙防止条例における規制の内容
3 路上喫煙防止条例における規制としての過料
4 過料を科す場合の過失の認定基準
第5項 小括(都市の美観確保とたばこによる住民への健康被害防止のための条例制定権)
第3節 わが国における近時の受動喫煙防止対策
1 東京都における条例制定
2 国の取組み
3 今後の受動喫煙防止対策の目指すべき方向
第5章 地方自治の課題
第1節 神戸市外郭団体第2次訴訟
第1項 問題の所在
第2項 事案の概要および判旨
1 事案の概要(地裁・高裁判決まで)
a 訴訟前の概要
b 地裁の判断:神戸地判平成20年4月24日民集66巻6号2631頁
c 高裁の判断:大阪高判平成21年11月27日民集66巻6号2738頁
(1) 補助金等の違法性
(2) 条例改正による権利放棄の効果
(3) 神戸市長の故意または過失の有無
2 最高裁判決(破棄自判)最二小判平成24年4月20日民集66巻6号2583頁
(1) 神戸市長の過失
(2) 議決による権利放棄の有効性
第3項 本件の整理と主な争点
1 本件の整理
2 本件における争点
a 争点①職員の派遣と補助金
b 争点②住民訴訟
c 争点③議会の議決
第4項 検 討
1 本件に関連する判例
a ①職員の派遣と補助金
b ②住民訴訟,③議会の議決
c 住民訴訟の意義についての判例
2 本件最高裁判決の評価
a ①職員の派遣と補助金
b 争点②住民訴訟
c 争点③議会の議決(権利放棄の議決)
d 議会の議決と権利放棄の効力
第5項 小 括
1 職員の派遣と補助金
2 住民訴訟と議会による権利放棄の議決
第2節 企業税条例の法律適合性
第1項 問題の所在
第2項 事案の概要
1 企業税条例制定の経緯
2 企業税の内容
3 地裁,高裁の判断
a 地裁判決:横浜地判平成20年3月19日判時2020号29頁
b 高裁判決:東京高判平成22年2月25日判時2074号32頁
第3項 最高裁判決(破棄自判)最一小判平成25年3月21日民集67巻3号438頁
1 地方公共団体の条例制定と課税権
2 臨時特例企業税条例による課税と法律の規定
第4項 本件の整理
1 地方公共団体の条例制定と課税権
2 地方税法と条例による課税
第5項 検 討
1 憲法上の地方公共団体の課税権
2 地方税法と地方公共団体の課税権
第6項 最高裁判決の意義
1 地方公共団体の課税権
2 徳島市公安条例事件最高裁判決との関係
3 地方税条例と地方税法の関係
4 金築補足意見
第7項 小 括
第6章 今日の条例制定の限界と地方自治の本旨
第1節 今日の条例制定の限界と地方自治の本旨
第1項 条例制定と法令等の関係
1 罪刑法定主義
2 財 産 権
3 租税法律主義
4 条例規定の地域間差異
第2項 条例制定の限界
第3項 地方公共団体の運営と地方自治の本旨
第2節 地方自治とは何か,地方自治の本旨とは何か
第1項 地方自治の意味するところ
第2項 地方自治の本旨の意味するところ
第3項 地方自治の本旨の構成要素としての補完性の原理の妥当性
第4項 地方自治の本旨の理解とアメリカの地方自治
第5項 地方自治の本旨の理解
第3節 日本国憲法における地方自治の保障の再考
第1項 地方自治の保障に関する考えの整理
第2項 固有権説の理解
第3項 伝来説の理解
第4項 制度的保障説の理解
第5項 二層制の保障
第6項 地方自治の保障の再考
第4節 条例制定権
第1項 従来の条例制定権
第2項 条例制定権の再考
第3項 最高裁判決から導く条例制定権
第4項 条例制定の専占
第5節 アメリカの制度の導入可能性
本書を通じて
事項索引