目次
『人権判例報 第7号』
【責任編集】小畑 郁・江島晶子
【目 次】
◆論 説◆
ウクライナ侵略に対する国連人権理事会の対応 ― 独立調査委員会の機能を中心に/古谷修一
◆特 報◆
ヨーロッパ人権条約と国際スポーツ法の交錯 ― 性分化疾患をもつ女性アスリートの権利とスポーツにおける公平な競争
Semenya v. Switzerland, 11 July 2023(小法廷、上訴審が大法廷に係属中)/髙田陽奈子
◆ ヨーロッパ人権裁判所 判例解説◆
・本号解説判例の特徴
◆ 1 数を頼んで非正規に越境した外国人の即時送還と集団的追放の禁止
国境での入国拒否も「追放」に該当するが、個人の責めに帰すべき事情があるときは集団的追放の禁止の例外である
― N.D. and N.T. 対スペイン判決 ―
N.D. and N.T. v. Spain, 13 February 2020(大法廷)/村上正直
◆ 2 犯罪を理由とする民事賠償と無罪推定
時効によって刑事手続が打ち切られた事件に対する検察官による私訴とヨーロッパ人権条約6条2項
― ファルザリエフ判決 ―
Farzaliyev v. Azerbaijan, 28 May 2020/水谷規男
◆ 3 強制労働の禁止と売春の強要
強制労働の禁止(ヨーロッパ人権条約4条)の実質的・手続的な適用
― S.M.対クロアチア判決 ―
S.M. v. Croatia, 25 June 2020(大法廷)/末道康之
◆ 4 品位を傷つける取扱いとなる庇護申請者の生活条件
宿泊場所も給付金も与えられず就労も許可されずに数カ月の路上生活を余儀なくされた人の困窮状況は品位を傷つける取扱い(3条違反)となる
― N.H.対フランス判決 ―
N.H. and others v. France, 2 July 2020/申 惠丰
◆ 5 女性に対する暴力(酸攻撃)事件の捜査
女性に差別的な社会的文化的背景の影響
― テルシャナ判決 ―
Tërshana v. Albania, 4 August 2020/近江美保
◆ 6 法廷での被告人の主張に対する処罰と表現の自由
刑事手続における防御の文脈における、第三者による証人への圧力の主張を名誉毀損として処罰することのヨーロッパ人権条約10条適合性
― ミルイェヴィッチ判決 ―
Miljević v. Croatia, 25 September 2020/山田哲史
◆ 7 おとり捜査における犯罪誘発と公正な裁判を受ける権利
有罪判決が犯罪誘発による証拠に基づく場合は、量刑斟酌ではなく証拠の排除か同様の結果をもたらす手続(手続の打切りなど)を要するとした事案
― アクベイ判決 ―
Akbay and others v. Germany, 15 October 2020/宮木康博
◆ 8 「敵対行為のアクティブな局面」における締約国との管轄のリンク
国際的武力紛争におけるヨーロッパ人権条約の適用
― ジョージア対ロシアII 事件 ―
Georgia v. Russia(II), 21 January 202(大法廷)/新井 京
◆ 9 トランスジェンダーと家族生活の尊重
子どもとの面会制限のヨーロッパ人権条約適合性
― A. M. 対ロシア判決 ―
A.M. and others v. Russia, 6 July 2021/齊藤笑美子
◆ 10 生命に対する権利の域外適用
他締約国内での国家機関による暗殺行為は国家の「管轄」内か
― カーター判決 ―
Carter v. Russian Federation, 21 September 2021/竹村仁美