紹介
◆第一線の執筆陣が一堂に集い、日本憲法学の全体像と展望を示す、待望の新講座、第6巻!◆
私たちが営む生そのものに対して、極めて大きな影響を及ぼしている「立憲主義」という思想の、現代的実相と今後の展望を示す。第6巻は、「現状・問題点」を洗い出すにあたって,日本の憲法・憲法学を「外」から見ることによって、日本国憲法を分析し、日本の憲法学のあり様を浮かび上がらせ、そして世界の憲法・憲法学との関係,憲法学と他の学問分野との関係を思考する。
◆〈講座 立憲主義と憲法学〉全6巻◆
■ 第1巻 憲法の基礎理論/編者:山元 一
■ 第2巻 人権Ⅰ/編者:愛敬浩二
■ 第3巻 人権Ⅱ/編者:毛利 透
■ 第4巻 統治機構Ⅰ/編者:只野雅人
■ 第5巻 統治機構Ⅱ/編者:宍戸常寿(続刊)
■ 第6巻 グローバルな立憲主義と憲法学/編者:江島晶子
目次
『〈講座 立憲主義と憲法学 第6巻〉グローバルな立憲主義と憲法学』
江島晶子(明治大学法学部教授)編
【目 次】
◇第6巻 解題/江島晶子
◆第1部◆立憲主義の多元化・グローバル化
◇第1章 グローバル立憲主義と憲法学の基本概念―主権・憲法制定権力・民主主義/須網隆夫
Ⅰ はじめに―問題の所在
Ⅱ グローバル立憲主義の概括的検討
Ⅲ 立憲主義と国家主権
Ⅳ 立憲主義と民主主義
Ⅴ グローバル立憲主義と日本国憲法
Ⅵ 結語―グローバル立憲主義の意義
◇第2章 憲法と裁判官対話/中井愛子
Ⅰ はじめに
Ⅱ 国際法・国内法関係と国際裁判所・国内裁判所関係
Ⅲ 裁判所間の相互作用―裁判官対話
Ⅳ 裁判官対話の類型と諸相
Ⅴ 国際法は憲法を超越するか―SICAでの裁判官対話から
Ⅵ おわりに―裁判官対話と憲法
◆第2部◆国際社会と憲法学
◇第3章 欠落する安全保障論と国際法・憲法―若干の問題提起/寺谷広司
Ⅰ 序―問題の所在
Ⅱ 原風景からの考察
Ⅲ 憲法優位説の台頭以降の展開
Ⅳ 国際人権法およびグローバル立憲主義との関係
Ⅴ 不確かな憲法解釈と憲法「専門家」
Ⅵ 結 び
◇第4章 国際法と国内法の関係論から多層的・多元的な法秩序の中での憲法論へ/山田哲史
Ⅰ はじめに
Ⅱ 一元論,二元論再訪
Ⅲ 法秩序の多層化・多元化の下での国際法・国内法関係論の位置づけ
Ⅳ おわりに
◇第5章 世界人権宣言と日本国憲法―「身近で小さな場所」から始まる人権と責任/根岸陽太
Ⅰ はじめに―「身近で小さな場所」から始まる人権
Ⅱ 二層土台(1・2 条)―理性と良心を授けられた差別なき個人
Ⅲ 四支柱(3~27 条)―恐怖と欠乏から免れる自由と平等
Ⅳ 三層破風(28~30 条)―平和のうちに生存するための友愛
Ⅴ 前庭階段(前文)―人類の願望としての平和な世界の到来
◇第6章 「定住外国人の人権」論と地球上のどこかに住む権利の間―世界と日本の「無国籍」問題と「向こう岸」に開かれた公法学への展望/小畑郁
Ⅰ はじめに―「送還忌避」論とその「批判」に巣くう宿痾
Ⅱ 大沼保昭における「国籍」へのアンビバレントなアプローチ
Ⅲ 憲法学における「定住外国人の人権」論と無国籍者・難民の不可視化構造
Ⅳ おわりに―「向こう岸」に開かれた公法学への展望
◆第3部◆「外」から見た日本の憲法学
◇第7章 樋口陽一とデュルケームにおける個人の像の比較―立憲主義と共和主義を繋ぐ『道徳』を手掛かりに/シモン・サルブラン
Ⅰ 序論―デュルケームと樋口を比較する意義
Ⅱ 個人主義を採用できない日本社会―樋口による日本社会への「3つの失望」
Ⅲ 共和主義による「個人」の解放―日本のモデルになれるか
Ⅳ デュルケームの「道徳的個人」と樋口の「市民」の比較
Ⅴ 結論―道徳としての法と知識人の責任
◇第8章 日本国憲法の構造的柔軟性―比較憲法データからの示唆/ケネス・盛・マッケルウェイン=クリス・ウィンクラー〔平松直登訳〕
Ⅰ イントロダクション
Ⅱ 国際比較における憲法の柔軟性
Ⅲ 地方分権の憲法典規定
Ⅳ 選挙制度の憲法典規定
Ⅴ 結 論
◇第9章 比較憲法学についての一考察/横大道聡
Ⅰ はじめに
Ⅱ 憲法科学としての比較憲法学
Ⅲ 憲法科学の潮流
Ⅳ 樋口陽一の比較憲法学
Ⅴ 日本の比較憲法学の特徴
Ⅵ 憲法学者の知的営為の実際
Ⅶ 「比較憲法学」を比較する
Ⅷ 比較憲法学はどうあるべきか―むすびに代えて
◇第10章 憲法・憲法学を「開く」―循環型人権システムにアクセスする権利の実現/江島晶子
Ⅰ はじめに―憲法・憲法学を「開く」とは
Ⅱ 憲法・立憲主義・憲法学
Ⅲ 人権の現状―人権は実現されたのか?
Ⅳ 人権保障システムの構築―循環型立憲主義
Ⅴ ケース・スタディ
Ⅵ おわりに