目次
精神分析の治療作用の本質(ジェイムス・ストレイチー著/山本優美訳)
陰性治療反応の分析への寄与(ジョアン・リビエール著/椋田容世訳))
空想の性質と機能(スーザン・アイザックス著/丸山仁美訳)
逆転移について(ポーラ・ハイマン著/原田剛志訳)
患者の投影同一化による逆転移のある特異面(レオン・グリーンバーグ著/下河重雄訳)
認知の発達(ロジャー・モネー‐カイル著/古賀直子訳)
クライン派分析家の系譜
クライン派精神分析の日本語文献
あとがき
索引
前書きなど
「本書には、心理療法や精神分析とりわけ対象関係論やクライン派精神分析を学ぶ方々が、これを味読せずして学んだとは決していえない、絶対不可欠な論文を集めました。
例をあげれば、空想や幻想と翻訳されているphantasyについて語るときにアイザックスの《空想の性質と機能》に抜きに済ませることはありえません。また、逆転移を論じるにあたっては、ハイマンの、《逆転移について》がまさにその出発点となります。投影同一化が広く知られるようになった今日、そして転移と逆転移の連動という視点が不可避となっている現在、グリンバーグのオリジナルな<投影‐逆‐同一化>論文をよまないわけにはいかないでしょう。さらには、精神分析での治療機序について討論するに際しては、ストレイチーの論文は、七十年を経たいまも他にかえがたい試金石となっています。同じように、モネー‐カイルの<認知>論文も、リビエールの<陰性治療反応>論文も、すべて、歴史を生き残ってきました。
しかし残念ながら、確実な知識をもたらしてくれるこれらの論文は今日に至るまで、アイザックスやストレイチーのように部分抄訳されたものはあっても、全体を収めた翻訳はなされてきませんでした。本書において初めて日本語で提供されるのです」(「本書を手にしておられる方に」より)