紹介
◆画期的なヴェブレン評伝!
「顕示的浪費」という鍵概念で消費社会を鮮やかに論じた『有閑階級の理論』
で知られるソースタイン・ヴェブレンは、ノルウェー移民の子としてアメリカ
に生まれました。そのような生い立ちにもよるのか、世の中の不公正に敏感で、
「不在所有制」「社会的共通資本」「製作者本能」などの、時代を何十年も先
取りする概念を考えだし、多くの重要な著作を発表しました。しかし一方で、
英語が不自由で気難しい人間だったため、研究者として恵まれず孤立していた、
などの否定的評価もされてきました。この「ヴェブレン神話」とでもいえるも
のに対して著者は、彼の全著作を読破し、新たに公開された一次資料にもつぶ
さに目を通して、全く新しいヴェブレン像を対置します。そこからは、英語が
達意で(書かれたものは難解だが)、学生・同僚にもめぐまれ、女性関係も華
やかな(ゆえに誤解もされた?)魅力的な人間像が浮かび上がってきます。今
後かならずや、アメリカも含めて、ヴェブレン評伝の決定版となることでしょ
う。