目次
はじめに――本書のナビゲーション 塚田修一
第1章 「場所」と「非―場所」――二つのテレビ番組が映した道と街、そして人 丸山友美
1 「国道十六号線」を映す二つのテレビ番組
2 『72時間』――「移動」し続けるカメラに映る道
3 『キンシオ』――物語にあふれた場所を探し歩く
4 「非―場所」としての十六号線で語られる、私の“幸福論”
5 物語の場所――二つのテレビ番組が映した十六号線
第2章 鉄塔がある風景――『闇金ウシジマくん』の郊外 近森高明
1 鉄塔がある風景――相模原
2 鉄塔の現象学
3 巨大な環状ライン
4 鉄塔へのマニアックな視線
5 「鉄塔的なるもの」の在りか――所沢、川越、狭山
6 『闇金ウシジマくん』の郊外
第3章 幹線移動者たち――国道十六号線上のトラックドライバーと文化 後藤美緒
1 二つの案内標識
2 職業としてのトラックドライバー
3 十六号線の構造――トラックドライバーの運転知
4 トラックドライバーの身体技法
5 路上から浮かび上がる十六号線の風景
6 十六号線を駆けるトラックの物語とは
第4章 「重ね描き」された国道十六号線――「十六号線的ではない」区間としての横須賀・横浜 塚田修一
1 「街道」と「国道」の重ね描き
2 「戦前」と「戦後」の重ね描き
3 金沢八景の風景
4 『昼顔』妻たちの街
5 均質ではない郊外空間
6 ここは十六号線なのか
コラム 相模原市緑区巡礼 松下優一
第5章 「軍都」から「商業集積地」へ――国道十六号線と相模原 塚田修一/後藤美緒/松下優一
1 経済界での十六号線の発見と相模原
2 軍都計画と戦後相模原
3 埋没する基地/浮上する消費空間――一九九〇年代の十六号線沿線相模原をめぐって
コラム 「国境」としての国道十六号線――福生・基地の街のリアリティ 塚田修一
第6章 ジューロクゴーが片隅を走る世界で――青木淳悟『学校の近くの家』の狭山/入間 松下優一
1 『学校の近くの家』の十六号線
2 一善の世界
3 “狭山らしさ”の探求
4 記号化された世界、その空虚な中心としての入間基地
5 「空都」の跡地で
第7章 不在の場所――春日部にみる「町」と「道」のつながり/つながらなさ 鈴木智之
1 ゴースト・プレイス
2 道が町を作る
3 春日部――道が生み出した町
4 町と道の接続/断絶
5 人口減少のフロントラインとしての十六号線
6 不在の場所
第8章 死者が住まう風景――国道十六号線ともう一つの郊外 佐幸信介
1 墓じまいの話――ある家族のライフヒストリー
2 十六号線沿いの霊園の風景
3 郊外と霊園――自動車がつなぐ空間
4 接合と切断する十六号線
コラム マツコ・デラックスと国道十六号線――犢橋で「十六号線的なるもの」を考える 塚田修一
第9章 国道十六号線/郊外の「果て」としての木更津――『木更津キャッツアイ』は何を描いたのか 西田善行
1 国道十六号線間格差――千葉県南西部と十六号線の景観
2 木更津と十六号線――駅前の発展と衰退、郊外化
3 『木更津キャッツアイ』――「コールドスポット」に現れた「ゴースト」
終 章 「東京都市圏」の縁をなぞる――国道十六号線と沿線地域の歴史と現状 西田善行
1 十六号線はどこを走っているのか
2 十六号線形成史――軍事道路、産業道路からショッピングロードへ
3 統計が描く沿線地域の輪郭――人口、住宅、産業と位置
4 十六号という「線」
おわりに 西田善行