目次
はじめに 大城房美
マンガ アビー・デンソン
第1部 少女マンガ――グローバル化とグローカル化
第1章 日本式少女マンガから女性マンガへ――「周縁化」から始まる主体性表現 大城房美
1 女性とコミックスという二重の周縁化
2 少女マンガの周縁化
3 かわいらしさからの挑戦
4 「主体的な」評価基準としての「かわいい」
5 少女マンガのグローカル化
第2章 どっちだってグローカル――漫画/mangaとシェイクスピア 吉原ゆかり
1 欧米グラフィック・ノベルのシェイクスピア
2 日本漫画のシェイクスピア
3 シェイクスピアと漫画でフェミニズム?
4 ロンドンで、mangaでシェイクスピア
第3章 マレーシアのマンガ――少女マンガ家カオル(Kaoru)を通してみる文化混交(ルビ:ハイブリディティ)へのアプローチ 顏曉暉[鈴木繁訳]
1 日本マンガの伝播――台湾の海賊版からの始まり
2 公的メディアの「マレーシア」と「とらえどころのない」少女マンガの「マレーシア」
3 カオルとマレーシアでの日本のマンガ・スタイル
第4章 少女マンガから見た『GIRL(ルビ:ガール)』――その日本での受容を左右するメディアスケープと民族性表現 ジャクリーヌ・ベルント
1 女の子の物語としての『GIRL』
2 メディアスケープによる受容限定
3 キャラクター造形と民族性表現
第5章 沈黙の音楽――音楽を主題とするマンガにおける欲望機械と女性性(ルビ:フェミニニティ) ★さんずいに余★銘宏
1 マンガと「感覚の転移」
2 女性的(ルビ:フェミニン)な欲望機械
3 「無音」と潜在性(ルビ:ヴァーチュアリティ)の演出
コラム ベトナムの少女マンガとその展望 加藤 栄
第2部 BL:ボーイズ・ラブ――世界に広がるファン・カルチャー
第6章 グローバル化するBL研究――日本BL研究からトランスナショナルBL研究へ 長池一美
1 BL規制研究
2 ファン研究
3 セクシュアリティー・クィア研究
4 レジスタンスとしてのBL研究
第7章 アメリカのコミックス・アーティストとマンガ――コリーン・ドランの作品考察 杉本バウエンス・ジェシカ
1 マンガの専門家としてのドラン
2 「大人気(ルビ:おとなげ)のBL?」――青池保子の発見
3 『マンガマン』という実験的なメタフィクション
第8章 同人誌文化のグローバリゼーションと韓国の女性同人――2000年代以降を中心に 金孝眞
1 境界を超えて――2000年代の韓国の同人文化
2 「pixiv」の登場と役割――韓国の同人の立場から
3 国境を超えた韓国の同人――その事例
4 挑戦される「解釈共同体」――韓国での『ヘタリア』論争をめぐって
コラム 女性の快楽のためのコミュニティーを作り出す――フィリピンでのやおい・BLコンベンションを事例として トリシア・アビゲイル・サントス・フェルミン
第3部 女性マンガ――創造する女性たち
第9章 そう、女性マンガ家はいるのだ――これまでのインタビューからの抜粋 ジョン・A・レント[中川裕二訳]
1 アジアの女性マンガ作家の簡単なプロフィール
2 アジア以外の地域に住む女性マンガ作家たちの簡単なプロフィール
3 女性マンガ作家と「職場」
第10章 笑い、ディタッチメント、そして快楽――女性エッセイマンガのジャーナリズム的機能と可能性 須川亜紀子
1 女性が書く(描く)、女性が読む(見る)
2 女性エッセイマンガ作家と女性の問題の取り扱い
3 叙情詩と笑い――西原理恵子『毎日かあさん』
4 巧妙な視点のずらし――細川貂々『ツレがうつになりまして。』
5 女性エッセイマンガの可能性
第11章 「物語」の力を蘇生させること――3・11以降の女性による自主制作のオンライン・マンガ 鈴木 繁
1 3・11に反応するマンガ
2 市民が作り出す自主制作マンガとソーシャル・メディア
3 「情報」に抵抗する視覚的物語(ルビ:ビジュアル・ナラティブ)――マスメディア vs. オンライン・マンガ
4 3・11は終わっていない
研究ノート 東南アジアの女性コミックスアーティストたちによる物語 チェンジュ・リム[中川裕二訳]
コラム で、今日はどうだった?――インドネシアのグラフィック・ダイアリーと女性アーティストの出現 ドゥウィニタ(ティタ)・ララサティ[高廣凡子訳]
あとがき――「ジャンル」から見た「女性マンガ」 ジャクリーヌ・ベルント
謝辞
女性MANGA研究プロジェクト(Women’s MANGA Research Project)
マンガ FScによる女性MANGA国際会議の風景――マンガ家から見たマンガ研究の場