前書きなど
はじめに
あるレストランオーナーから届いた手紙
「はっきり言いまして、それ以前の私は病んでいました。
次第に私が妻に口走る言葉は『俺、やめる。もういい。もうたくさん』という言葉しか出てなかったと思います。
こういう弱音を吐くことで自分のストレスの空気を抜いていたんだと思います……」
とある地方都市、駅から徒歩10分弱。
決して立地に恵まれているわけではない、あるハンバーグレストランのオーナーシェフからいただいた手紙です。
それから2年……。今、彼はどうしているでしょうか。
お店を閉めてしまったのでしょうか。
結論から言うと、彼のお店はこの2年の間にファン顧客5000名を抱え、業績は右肩上がりを続けています。
現在もファン顧客は増え続けており、楽しく幸せに商売をなさっています。
「大金を投じて改装したのか?」ですって?
いいえ、お店は2年前とまったく同じ場所に立地し、メニューもハンバーグレストランのままです。
特別なチラシを配ったり、テレビで取り上げられたりしたわけでもありません。
しかも、この2年の間には客席数を減らし、夜の営業をやめてしまいました。
今は、ランチタイムしか営業していません。
それでもファン顧客は増え続け、業績は右肩上がりです。
家族との団らんの時間もしっかり取れるようになり、今ではすっかり仕事と人生を楽しんでいます。
彼から最近いただいた手紙には、こう書いてありました。
「たくさんの大切な仲間、親友に、顧客に出会えました。
人とのつながりや、
つらくても、コトあるすべてのことが
自分に『用意』されているものだと敏感になりました。
僕が僕を貫き通せる勇気をもらえました。
感謝の気持ちが深くなりました。
生まれ持った最高の人生の筋道を
ちゃんと歩めている気がします。
本当の自分を貫ける勇気と愉しさを
与えていただきました。
素直になれず荒んだ時期もありました。
素直ささえ忘れていた日々も、
自分自身も否定していた日もありました。
あ?? やっぱりこういう人生か。
はいはい、やりますよ、はいはい。
そうではなかった。
私の生き様を、そして真の思いやりを
グウワァァァァアっと
変えていただきありがとうございます。
これからも
この世に生まれ落ちたからには
人間力を磨き、さらにまだ見ぬ世界を見たいと思います」
レストランが客席数を減らし、夜の営業をやめて、特別なことを何もやっていないのに、どうして業績が上がるのでしょうか。
たった2年の間に、彼に何が起こったのでしょうか。
それが、この本で私があなたにお伝えしたいことです。
もし今あなたが、「仕事がつまらない」「転職しようかなぁ」と考えているとしたら、動くのはこの本を読んでからでも遅くはないかもしれません。
なぜなら、この本を読み終えたとき、あなたの見える景色が変わっているかもしれないからです。
かつての私が、そうでした。
私の社会人生活のスタートは、ある全国チェーンのカジュアルファッション店の店員でした。
希望を抱いて就職したはずでしたが、この本でお伝えしていく考え方とやり方に出会うまでは、本当に仕事がいやで、苦痛で仕方ありませんでした。
「こんな生活がずっと続くのか」と思うと、暗い気持ちで毎日お店に立っていました。
「社会人て……働くって最悪だなぁ」と。
そうこうしているうちに、ベルトコンベア式に店長になってしまいました。
当然、数字責任を負うことになりましたが、店長として店の売上をまったく上げられず、そのことを上司からチクチクと言われながら、悶々と仕事をしていました。
店長の私がそんなですから、スタッフさんともうまくいくはずがありません。
イライラをぶつけるように私語をきつく注意したり、人件費を下げるために少しでも早く帰ってもらったりと、とにかくギスギスしていました。
当時のスタッフさんたちには申し訳ないことをしたなと思います。
しかし、スタッフさんたちのことにはまったく気が回らず、「このまま40代、50代になっても、相変わらず売上の上げられない、しがない店長なんてやってたら……人生終わったなぁ」と自分のことばかり考えていました。
追い詰められていました。
そんな中、町の書店で手にした一冊の本が私の人生を変えることになったのです。
その本に書いてあることをやってみたら、お店の売上がぐんぐん上がっていき、当時300店ほどあったチェーンの中で、売上と利益の伸び率がトップの店長になってしまいました。
と同時に、仕事が楽しくて仕方なくなってしまいました。
毎日お店に立っていましたので、肉体的にはしんどいこともありましたが、そのしんどさすら心地よく感じるようになり、充実感でいっぱいでした。
私が変わったことで、スタッフさんたちにも笑顔が出るようになっていきました。
ハンバーグレストランの彼と同じく、私も、やっている仕事は以前と同じなのに、仕事が楽しいもの、生きている喜びを感じられるものに変わってしまったのです。
この本には、仕事と人生が180度変わってしまった、いたって普通の人たちの実例が登場します。
こんなに普通の、あなたのすぐ隣にいる人の人生が変わるなら、自分にだってやれる。そう感じていただきたいのです。
私もそうでしたし、あなたも実際にそうだからです。
あなたに今日からすぐに取り組んでもらえるように、できるだけシンプルにお話ししていきます。
読み進めていただくとわかりますが、考えることややることはいたってシンプルです。
そのシンプルなことをやるだけで、あなたの仕事と人生が変わります。
やらなければ変わりませんが、やれば必ず変わります。
読んでいる途中でも、「これは!」と思ったことは、ぜひすぐにやってみてください。
振り返ってみると、その小さな一歩が、実は大きな一歩だったということに、気づいていただけるでしょう。
それでは、人生を変える大きな意味を持つ「小さな一歩」を踏み出しましょう。
振り返ると、今日が人生の分岐点になっていた、そんな「大きな一歩」となることでしょう。