紹介
ケインズが1936年に執筆し、その後の世界経済運営を一変させた『雇用と利子とお金の一般理論』(The General Theory of Employment, Interest and Money)を山形浩生が完全要約。
1929年から始まった世界恐慌を受けて書かれた『一般理論』は、2008年のリーマン・ショックから続く世界同時不況の状況で、さらに有効性を増している。
原文のすべての段落を1段落ごとに要約した「完全要約」とともに、巻末には要約・翻訳の山形浩生自身による解説と、経済学者の飯田泰之による解説を新たに収録。
これまでで一番読みやすいケインズ『一般理論』です。
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目次
能書き 山形浩生
序文
第I巻:はじめに
第1章 一般理論
第2章 古典派経済学の想定
第3章 有効需要の原理
第II巻:定義と考え方
第4章 単位の選び方
第5章 産出と雇用を決めるものとしての期待
第6章 所得、貯蓄、投資の定義
第7章 貯蓄、投資の意味をもっと考える
第III巻:消費性向
第8章 消費性向: I. 客観的な要因
第9章 消費性向: II. 主観的な要因
第10章 限界消費性向と乗数(ケインズ的公共事業、お金を埋めて掘り返させろと主張する章)
第IV巻:投資をうながす
第11章 資本の限界効率
第12章 長期期待の状態(美人コンテストとアニマルスピリットが登場する章)
第13章 金利の一般理論
第14章 金利の古典理論
第14章おまけ マーシャルやリカードの述べる金利とは
第15章 流動性への心理的・ビジネス的なインセンティブ
第16章 資本の性質についての見解あれこれ
第17章 利子とお金の本質的な性質
第18章 雇用の一般理論再訪
第V巻:賃金と価格
第19章 賃金の変化
第19章おまけ ピグー『失業の理論』について
第20章 雇用関数
第21章 価格の理論
第VI巻:一般理論が示唆するちょっとしたメモ
第22章 ビジネスサイクル[景気循環]についてのメモ
第23章 重商主義、高利貸し法、印紙式のお金、消費不足の理論についてのメモ
第24章 結語:『一般理論』から導かれるはずの社会哲学について
解説 飯田泰之
訳編者解説 山形浩生
1 ケインズってだれ?
2 ケインズは『一般理論』で何をしようとしたのか?
2.1 それまでの経済学とは:基本は放置プレイの古典派経済学
2.2 不景気って何?
3 一般理論の主張とその活用
3.1 一般理論のキモ:財や労働の需要が、お金の需給に左右される!
3.2 IS-LM理論
4 ケインズ経済学の興亡
4.1 ケインズ経済学黄金時代とその崩壊
4.2 古典派経済学の逆襲
4.3 ニューケインジアン
5 リーマンショックとケインズの復活
6 『一般理論』と経済学の未来
6.1 ケインズのご利益とは
6.2 経済学の未来?
7 謝辞
前書きなど
『要約 ケインズ雇用と利子とお金の一般理論』
能書き
by 山形浩生
(with Special TNX to 能登麻美子氏……の2ちゃんねるに巣くうキモヲタファンども諸賢)
これは、John Maynard Keynes The General Theory of Employment, Interest and Money(1936)の要約版だ。テキストとしては1953年刊のHBJ版を使っている。
要約といっても、勝手なつまみ食いじゃない。原書に登場するすべての段落 (ただし6章、14章、19章それぞれのおまけは除く)を、番号をふってまとめてある。以下で一段落で表現されているのは、原文の一段落に対応している。こうすることで、恣意的な部分はかなり減る。何かでかい部分がごそっと抜けていることもなくなる。
こういう形にしたのは、マルクスとかアダム・スミスとか訳していて、ちょっと疲れたからだ。昔の人はずいぶんうだうだと書く。忙しい現代人ならパワーポイント一枚ですませる中身を10ページかけてダラダラ書く。そういうのをいちいち訳したところであまり意味はない。そういうのをばっさり切ってすっきりまとめられたらいいな、と思ったからだ。
読む側だってさあ、一字一句なんか読むほど暇じゃないでしょ? そういう暇な人はご職業の方なんだから、暇にあかせて原書を読めばよろしい。これはそういう人のためのものじゃない。それにこの『一般理論』は、古典派以外にも考え方がある、というのの説明にかなりの紙幅を割いている。当時は、古典派以外の考え方があるとはみんな思ってなかったからだ。でも、いまの人はそんなことを長々と説明してもらわなくても、ケインズ経済学がある、ということは知ってるのだ。だから、そういうところは端折るほうがお互いのためだ。その一方で、世の中にはケインズの解説書と称して、その著者が勝手な思いこみで自分の好きな部分だけをつまみ食いした本がいっぱいある。その思いこみがまちがっているとか、重要ではないということではない。でも、一応フェアに全体を見たいと思うのも人情だ。
マルクスの場合、『資本論』は宗教書になっているのでこういう処理は難しい。一言半句の解釈が問題にされ、内ゲバになる。アダム・スミスも多少そんなところはある。一方ケインズは、えらい経済学者だけど宗教になってない。だからこういう要約でも役にたつのだ。
だから役にたててね。
なお、原文を読みたい人はMarxists Internet Archiveに出ている。また、Google Books にもスキャンしたものが出ている。日本語で読みたい人は、その後ぼくが全訳したものが http://genpaku.org/generaltheory/ にある。